アマチュア野球組織の歴史を振り返る「全日本野球協会」

 日本の野球の歴史は、アマチュア野球から始まりました。この連載では、アマチュア野球の組織の歴史を振り返り、日本の野球がプロ野球とアマチュア野球二つの歴史で支えられてきた背景を、理解していただけるよう団体組織の方に実際に歴史を振り返っていただきます。

第一回は、「一般財団法人 全日本野球協会」(略称:BFJ) アマチュア野球を代表する組織の歴史を振り返ります。




 

 野球が1992年のバルセロナ五輪より正式競技になることに伴い、野球のNF(国内統一組織)を設置する必要が生じたことで、1990年6月20日に発足した全日本アマチュア野球連盟(以下、全アマ)が、全日本野球協会(BFJ)の前身にあたります。この全アマがJOCおよび国際野球連盟(IBAF)に加盟することで、他のオリンピック競技と同様の組織構図が実現しました。その後、2008年の北京五輪で野球は競技種目から外れてしまいましたが、全アマは、IBAF傘下のもと、競技の五輪復帰の活動、各種国際大会への日本代表チーム派遣に関連する事業を行なっていました。2013年4月1日より一般財団法人に移行するのに伴い、組織名を「全日本アマチュア野球連盟」から「全日本野球協会」に改称。同時に全日本軟式野球連盟の加盟を決定しました。

 学生野球、社会人野球、軟式野球という日本のアマチュア野球をそれぞれ統括する中央組織である学生野球協会、日本野球連盟、全日本軟式野球連盟の3競技団体を代表するNF組織として、新たなスタートを切りました。

 BFJの事業は国際事業と国内事業に大別されます。国際事業関連では、2013年5月16日に日本野球機構(NPB)とBFJは記者会見を開き、「野球日本代表マーケティング委員会(JMBC)」の設立を発表、全世代の日本代表が統一仕様のユニフォームを着用し、プロアマ連携により今後の競技力の向上と普及振興を推進する体制を整えました。今では多くの選手たちのあこがれとなっている「侍ジャパン」がここに誕生したのです。

 さらに、2016年5月1日、NPBとBFJと合同で日本野球協議会(以下、協議会)を設立、日本の野球界全体の課題解決のため、5つの委員会を設置し、プロアマの垣根を越えた協議を行ない、具体的な施策を実施しています。

 この協議会での協議の末、誕生したのが、公認野球指導者資格制度です。野球の普及振興を推進する上で、指導者養成は欠かすことのできない課題という共通認識のもと、他競技のような統一した資格制度のない野球界において初の統一した資格付与が2021年度より始まりました。開始にあたってはすそ野を支えるU-12世代の指導者向けの資格付与を実施、今後、U-15世代、その上の世代の指導者資格構築について事業を推進しています。

 また、国内事業については、2015年よりアマ全体の審判員を対象とした審判ライセンス制度を構築し、審判員の養成および技術向上のための講習会等を実施し、野球全体の環境整備にも力を注いでいます。


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