【JFE東日本のマネジメント術(後編)】 チーム全員を成長&成功に導く、最強の「チームワーク」構築法


本記事は全3回の第3回。第2回記事を読む


団体競技である野球では、「チームワーク」が不可欠になる。では一体、チームワークとはどういう定義になるだろうか。


元千葉ロッテマリーンズのクローザーで、現在JFE東日本の投手コーチを務める荻野忠寛はこう考えている。


「チームワークとは、『共通の目標を達成するために、お互いに協力連携しながら相乗効果を導く共同作業』です。みんなでそろって同じことをするとか、相手に配慮して自分の言いたいことを我慢するとか、周りの顔色を見て輪を乱さないように行動するとか、単に仲がいいというのがチームワークではない。チームワークは目的や目標ではなく、共通の目標を達成するための手段です」


前編で紹介したように、JFE東日本投手陣が根幹に置くのは「人権と尊厳」だ。自分と他者の幸せを両立するためにチームワークが不可欠になる。


その上で重要なのは、チームの全員が成長できることだ。荻野が続ける。


「一部の試合に出ている選手の満足度が高く、そうではない選手が文句を言っている状態は『チームワークがいい』とは言いません。

メンバー全員が多くを学び、『このチームにいることによって自分は成長した』と感じられる。そして全メンバーが生かされている。僕は全ピッチャーを使うので、そういう感覚が全員にあると思います」



荻野忠寛 投手コーチ(写真左)


教えるのは“0から1”だけ


2022年12月に就任して以来、荻野は「自走する組織」を目指してきた。だからこそ就任前、落合成紀監督から声をかけられた際に伝えたことがある。


「1週間に1回練習に行ければ、ピッチャーのパフォーマンスを上げられます」


ここまで言い切れるのは、荻野には「コーチング」という発想がないからだ。


「選手が伸びる環境さえつくれば、選手は勝手に伸びていくと思っています。僕はすべてにおいて“0から1”だけを教えて、『あとは自分で考えて』とやる。

“0から1”は教えないと気づかない。知らないまま終わるのが一番ダメなので“0から1”は教えるけど、あとは一切教えません。もちろん、選手から聞いてきたときにはなんでも答えます」


選手たちが自走するためにまず必要になるのは、「人権と尊厳」という考え方だ。荻野の言う「チームワーク」を構築するためにも重要になる。


また、中編で紹介した“いいフォーム”は物理学と生理学に通じ、「僕には当てはまりません」は絶対にあり得ない。


以上のようなことが“0から1”であり、野球選手として土台になる要素だ。こうした考え方や知識を学んだ後は、自分で考えることで成長につながっていく。



「自走させる」仕組みづくり


4月23日に行われた鷺宮製作所との練習試合では、投手たちが登板直前までブルペンで投球フォームを教え合う姿があった。荻野が就任してから2シーズン目を迎え、JFE東日本では投手同士の会話が圧倒的に増えたという。


「うちのピッチャーは今、本当に自走しています。例えば誰かが遠方のトレーナに教えてもらいにいったら、帰ってきて情報をみんなに共有する。走りの学校でワークを受けたら、『知りたい』と言う選手たちと一緒にドリルを行う。

こういう文化があるチームは、たぶん他にはないと思います。僕が常勤ではなく、試合のときだけしか行かないからできるのかもしれません」


荻野が指導に行くのは試合時のみで、月に15回程度だ。その仕事は“0から1”を教え、投手たちが伸びる仕組みをつくることだという。

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