Baseball5「Spirit Bonds」 初の冠大会開催は世代問わず”参加者全員が輝ける一日”に

3月29日、東京都立山崎高校でBaseball5トーナメント「第1回スピボン杯」が行われた。


「Spirit Bonds」が主催した大会は日本代表選手も多く参加し、全ての試合で熱戦が繰り広げられた。


(取材 / 文:白石怜平)



”参加者全員が輝ける”チーム初の冠大会


この大会はBaseball5の強豪チームへと成長している「Spirit Bonds」が音頭を取って行われた。Spirit Bondsは2022年に日本代表としてプレーした宮之原健が創設。


昨年4月に15歳以上対象のオープンの部、9月下旬には15歳から18歳までが対象のユースの部である「Spirit Bonds YAMASAKI」を立ち上げた。


両チーム共に今年1月の「侍ジャパンチャレンジカップ 第2回 Baseball5 日本選手権」でベスト4の好成績を挙げている。


オープン・ユース共に全国ベスト4に輝いた



競技の普及に向けた活動もチームを挙げて積極的に行っており、宮之原が小学校の教員であることからBaseball5を授業に導入するなど、ジュニア・ユース世代への浸透を促進している。


そして今回はチーム初の催しとして冠大会を開催。


宮之原はこの大会を開催した背景を「Baseball5の魅力を様々な世代の方々に実際にプレーすることで感じていただく。また、この競技のファンを増やしたい。そんな想いから大会を企画しました」と語る。


その想いを体現するように、記念すべき第1回スピボン杯のテーマは「老若男女 / 初心者の方でも楽しめる」「参加者全員が輝ける日」とした。


テーマに込めた想いについても宮之原は続けて明かしてくれた。


「Baseball5が老若男女すべての人に向けて楽しいスポーツであることを表現したいと考えました。ルールの工夫をすることで、どの世代の方々にも身近なスポーツであり、継続的に取り組みたいものになってほしい。


また、”参加者全員が輝ける日”というのは、その選手の良い部分をみんなで見つけ・認め合い、そしてお互いが自分らしいプレーをすることで、より良い時間にしてほしいという願いを込めています」


”一人ひとりが輝く”場になった(チーム提供)



全選手への賞状やトロフィーを製作するなどチームを挙げてこの場に集まったみんなを歓迎した。



10代から70代がプレイヤーに


この日は10チームが参加。


日本選手権初代チャンピオンの「ジャンク5」から会場である都立山崎高校の教員チーム、そして離島大島から「Ambitious Oshima」も参戦するなど、オープンやユースさらには地域も多様さあふれるラインナップに。


山梨・茨城・東京の連合チームもこの日のために結成された



コートに入れば全員勝負師として真剣にボールと向き合いながら、1プレーそして1試合を終えるとお互い笑顔で讃え合った。


また、試合が始まるとテーマの通り年代性別問わず、一人ひとりが輝く舞台がつくられた。


プレーした選手の年代は10代〜70代で、応援に駆けつけた選手の親も代打で続々と登場。場内アナウンスのコールと拍手に包まれながら、軽快に打って走ってと躍動する姿を見せた。


この日最も躍動したのが髙島凱哉。高校教員を務めている髙島は大島高校在籍時代にAmbitious Oshimaでプレーし、昨年度から山崎高校へ転任すると、Spirit Bondsに移籍するとともにユースチーム創設に携わった。


髙島はその縁もあり、上記2チームに加えて大会に参加した「山崎高校教員チーム」と計3チームでプレー。各所で高いレベルのパフォーマンスを発揮した。


3チーム兼任で出場した髙島凱哉



さらにオープン・ユース共に日の丸を背負った選手も登場する。


オープンではジャンク5から大嶋美帆・島拓也・三上駿の3選手が、日本代表選手として世界の舞台で培った技術を披露した。


ユースでは連合チームとして参加した「Hitachi Bravo5」の雨堤花帆、Spirit Bonds YAMASAKIから谷尾心瑚が3月のアジアカップ優勝からの”凱旋”で会場を沸かせた。


ユースのアジアカップ優勝メンバーである雨堤花帆



ジャンク5に現れた新星


トーナメントとして行われたスピボン杯の決勝は、Spirit Bondsとジャンク5の対戦に。

お互いに日本代表経験のある選手が在籍していることもあり、選手権を彷彿とさせる緊張感も加わった。


世界で戦ったスピードをここでも見せた三上駿



試合はジャンク5がSpirit Bondsとの戦いを制し、スピボン杯のチャンピオンとなった。

今回は桜美林大学Baseball5部と混合チームで参加し、経験豊富な中堅選手と未来を担う若い力が合わさり、優勝を勝ち取った。


その若い力の中で、最年少かつ新戦力が存在感を見せつけた。その選手の名は安立梨子。


この春まで横浜隼人高校に在籍しており、1月にはユースチーム「NEXUS65」の一員として日本選手権にも出場した。その直後にジャンク5に入団し、新たな風を吹き込んでいる。


ジャンク5そして侍ジャパンBaseball5の指揮官でもある若松健太監督も、安立の持つポテンシャルやそれを磨くひたむきな姿勢を高く評価している。


「Baseball5に取り組む姿勢は完璧です。ほとんどの練習に参加し、三上など代表クラスにいろいろ質問するなど、上手くなろうとしていることが明確に伝わってきます。常に笑顔でチームのムードメーカーです。


プレースタイルも特に打撃は男子顔負けのフルスイングで、打つ瞬間に声を出すのをチームでイジられるくらい愛嬌のある選手です(笑)。


次の侍ジャパン女子メンバーには絶対入ってほしいですし、入れる素質は間違いなく持っています」


選手権にも出場し、この日も活躍した安立梨子



その期待通り安立はスピボン杯の活躍が認められ優秀賞を受賞。チームそして日本のBaseball5界希望の星として台頭した。



次回は教員の方々に向けた大会に


表彰式では上述の通り、全員に賞状が用意され宮之原がプレゼンターとして贈呈。


打撃や守備、走塁など各所での賞を設けるとともに、盛り上げ賞やスマイル賞などプレー以外でもスポットライトが当たるように工夫が凝らされていた。


MVPのトロフィーを受け取った東翔紀(ジャンク5)



宮之原は第1回を終え、大会を以下のように総括した。


「100名を超える方に来ていただきました。多くの方々とお話させていただきましたが、みなさんの”Baseball5愛”を感じました。


開催会場である山崎高校や協賛企業さんをはじめ、たくさんの方々のご尽力のもと無事に終えることができ、感謝の気持ちであふれています。


MCである高柳まさきさんも会場を大いに盛り上げてくださりましたし、Baseball5が持つパワーを強く感じました」


大会でMCを務めた髙柳まさきさん(写真左:チーム提供)



今回スタートを切ったスピボン杯は今後も継続していく。宮之原は競技の発展を視野に入れながら、次回以降の展望を語った。


「様々な世代やカテゴリーの方にBaseball5が普及していければ、自ずと競技の価値は上がります。また、このスポーツがさらにメジャーになることで、子どもたちの目標が一つ増えることにもつながると考えています。


そのためにも次回は、現役の先生方対象のスピボン杯を開催します。学校教育や地域に愛されるスポーツにしていきたいです」



その第2回スピボン杯は5月に開催される。子どもたちを始め、全世代へのアプローチを続けるSpirit Bondsは今後もユニークな取り組みを行っていく。


早くも5月に第2回が開催される(チーム提供)


(おわり)

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