
3月8日、都内で「2025第2回ユース Baseball5 アジアカップ」の出国前会見が行われた。
ユースとしては初めての国際大会に臨む8人の選手が「JAPAN」のユニフォームを身にまとい、大会に臨む意気込みなどを述べた。
(写真 / 文:白石怜平)
選手全員が意気込みを語る
今回の会見には選手8人と本池太一監督・六角彩子コーチ、加えて山中正竹 全日本野球協会会長、斎藤佑樹スーパーバイザーの計12名が参加した。
山中会長は冒頭でマイクを持ち、挨拶で力強い想いを表した。
「Baseball5はアーバンスポーツとして世界的に注目を浴びています。日本も力をつけ、競技人口も増加しています。より一層競技を繁栄させ定着、そして強化させないといけない強い意志を持っています」
Baseball5に向けた強い想いを語った山中会長
そして選手一人ひとりが大会への意気込みを述べていく。
「コミュニケーションとりながらアジア制覇を目指します」、「一致団結して優勝できるよう頑張ります」
などと、多くの選手からコミュニケーションやチームの和を重んじる言葉が挙がった。オープンの部でもチームワークを発揮し世界2位の座を勝ち取ったことから、ユースに受け継がれていることを示していた。
また、その中でも代表選手らしい振る舞いを大事にした発言も聞くことができた。
言葉の主は背番号6の星優大(横浜隼人Agressive)。「侍ジャパンチャレンジカップ 第2回 Baseball5 日本選手権」でチームを優勝に導いた原動力として、男子MVPにも輝いた。
星はここで、「自分は礼儀の正しさを些細な行動からしていくことで、アジアだけでなく世界に向けて、『日本の振る舞いは世界一』であることをアピールし、大会でも優勝して帰ってきます」と語り、侍戦士としての自覚を表現した。
日本の持つ礼儀礼節を世界にアピールしたいと語った星優大
今回の代表チームの特徴とは?
本池監督はチームの特徴について、「男性はフィジカルが強くて走力に長けてる選手、女性は守備力のある選手が代表に入っています」と説明。
Baseball5は捕って素早く投げる動きが要求されることから、攻守共にスピードを発揮できるメンバーを選出した。その言葉通り星は、
「走力に自信があるので、日本の長所でもある走塁のところでは自分がアピールできるところです。選手権でも走力を活かして戦ってきたので、アジアカップでも走塁の面で活躍したい」
と語れば、背番号3の杉浦瑠莉(日大二高・中京大中京5)も上述の意気込みの際に、
「持ち味はスピーディーな走塁と守備だと思うので、そこを活かしてアジアカップ優勝を目指します」
と述べるなど、選手自身からも長所が明かされた。
持ち味としてスピーディーさをアピールした杉浦瑠莉
加えて本池監督は、自身も昨年2つの国際大会を選手として戦った経験から「世界を戦うには強い打球を打てないと後手を踏んでしまう」として、フィジカル面も代表選出における項目に設定していた。
それを体現し、かつ逆方向にも強く打てる選手として、背番号8の渡辺隼人(横浜隼人Brave Heart)を挙げた。渡辺は指揮官の命を受け、マイクを持った。
「打順では2番を打っているので、先頭が出たら一・二塁間やファーストの横を強く打つことを求められています。それを聞いてから練習を重ねた結果、ランナーを進めて自分も塁に出れるようになりましたので、アジアカップでも継続して貢献したいです」
強い打球を広角に放つ渡辺隼人
「主将を置かない」方針に込められた意図
今回の侍ジャパンでは主将は置かない方針を採っている。本池監督はその意図について「準備期間が短いのもあるのですが、誰かに頼ってプレーしないようにしたい考えがありました」と明かした。
選手たちは主将を一人置かなくても各々がその自覚を持っている。
監督からも「もし指名されたら話したいという選手が男女1人ずついるので話します」と、背番号5の平野将梧(横浜隼人Aggressive)と同7番の森本愛華(日大二高・中京大中京5)が代表して”決意表明”を行った。
「日本代表になったからには支えてくれる方々や応援してくださる方々に感謝の気持ちを持って臨みますし、日本代表としての自覚を持ち最後まで戦い抜きます」(平野)
周りへの”感謝”を忘れずに戦い抜くと誓った平野将梧
「キャプテンがいなくても、全員が自身の行動に責任を持ってやっていきますし、一人ひとりが意識することに加えて、自分自身もみんなの先頭に立って声かけも積極的にやって引っ張っていきたいです」(森本)
キャプテンシーを強く持っている森本愛華
この後の質問で「競技歴と自身が感じるBaseball5の魅力」を問われると、約3ヶ月〜1年強、長くて2年と答えた選手たち。
魅力についても「男女が一緒になってコミュニケーションを取ることができ、絆を深められる」「ボール一つで場所を問わずできる」という回答と合わせて、「上達が早く感じられる」などと語るなどまさに可能性に満ち溢れたメンバーが集まった。
斎藤佑樹スーパーバイザーの”経験”
1月にスーパーバイザーへと就任した斎藤佑樹氏が「侍ジャパンチャレンジカップ 第2回 Baseball5 日本選手権」に続きこの日も駆けつけ、メッセージを送った。
「話す姿と顔つきと立ち姿を見て頼もしいと思って見ていました。勝ち負けはもちろん大切ですが、日本が世界においてどれだけ存在感を出していくかがさらに大切だと思います。ハツラツとしたエネルギーを振りまいてくれる。そんな姿が見れることを期待したいです」
会見に駆けつけたスーパーバイザーの斎藤佑樹氏
斎藤氏は高校・大学時代に海外で世界を戦った”先輩”。その時の経験で今に活きているものとしては、先に選手たちが述べた「コミュニケーション」を相手チームとも交わす機会があったことだという。
「当時戦ったアメリカ代表でメジャーリーガーになった選手もいましたので、『あんな選手と一緒にプレーできていたんだ』といった思い出が今でも貴重な経験として残っています。ですので、みなさんにもそういった経験を感じてきてもらえれば嬉しいです」
選手それぞれのコメントを真剣な表情で見守っていた斎藤氏。背番号4の谷尾心瑚が「私は野球経験がないのですが」と語った際には、思わず驚きの表情を見せる一面もあった。
世界を戦ってきた首脳陣が語った侍Jの意義
そして最後は代表首脳陣の2人。本池監督と六角コーチは共に昨年選手として国際大会を戦い、世界を熟知している。
本池監督は就任するに当たり、「ここまで日本が積み上げたものを、ユース世代に継承することが私の使命だと思っています」と強い想いを抱いている。
その経験を踏まえて、侍ジャパンBaseball5代表の意義についてこのように語った。
「私も昨年選手として国際大会に出場しまして、各国のいいプレーを間近で見ていい勉強をさせてもらいました。
昨年も世界2位になったことによって、トップレベルを目指してプレーしている人たちの目標として侍ジャパンがあり、そして世界一というものがありますので、今後の選手にとっても目指す道標になっていくものだと考えています」
本池監督は培ってきた日本のBaseball5を継承していく
また、六角コーチはBaseball5に加えて女子野球においても日本代表選手として活躍してきた実績がある。18歳の頃から日の丸を背負い、その責任と重さを誰よりも知る立場から、本池監督同様に侍ジャパンの意義を述べた。
「私は女子野球で18歳のころに、初めて日本代表入りをさせてもらい、途中から侍ジャパンにも入れてもらいました。
野球をやってて男女の違いをステージで感じたのですが、仲間に入れてもらえたのが嬉しくてその時の感動を今でも覚えています。
また、Baseball5も侍ジャパンに入れさせてもらって本当に嬉しい思いが第一にありました。”侍ジャパン”というからには自覚など、大切にしないといけない部分があるので、選手みんなで背負って戦いたいです」
侍ジャパンに入れる喜びそして思い入れを明かした六角コーチ
「2025第2回ユース Baseball5 アジアカップ」は11日に開幕した。3日間で6カ国との総当たり戦、4日目の最終日に順位決定戦が行われる。
日本は初参戦で初のアジア一を目指し、その先にある「WBSC ユースBaseball5ワールドカップ」への切符を掴む。
(おわり)
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