「スポーツマンシップ」
誰もが知っている言葉ですが、大まかな意味は知っていても深く考えたことがある人は少ないのではないでしょうか?今回、Homebaseではスポーツマンシップについて歴史を紐解くことによりスポーツマンシップを学ぶ重要性を解説いたします。
近代スポーツの基本的な枠組みは、19 世紀中頃に、イギリスのパブリックスクールで完成されたと言われています。その枠組は「体を使う遊び」の要素に、「ルールに基づいて勝敗を競う」という要素を加えて「ゲーム」として再構成したものです。そして、ルールを守り行動するという社会の基礎的な能力を訓練するソフトとして、教育にも利用されるようになったと言われています。
「社会的な能力」を示す場でした。そのため「誰が一番、スポーツマンシップを示し、スポーツマンらしく振る舞ったのか?」が最も重要だったわけです。本来「スポーツマンシップ」を身につけることがスポーツの目的であり、その目的を果たすために「勝敗を決めるゲーム」という仕組みが有効だと考えられていたそうです。ここでいう社会的な能力とは、「知力」と「体力」と「倫理力」の3つとなるそうです。実は、スポーツが誕生した当時の学生たちにとって、スポーツは第一に「社会的な能力」を示す場でした。その為「誰が一番、スポーツマンシップを示し、スポーツマンらしく振る舞ったのか?」が最も重要だったわけです。本来「スポーツマンシップ」を身につけることがスポーツの目的であり、その目的を果たすために「勝敗を決めるゲーム」という仕組みが有効だと考えられていたそうです。
しかし、この目的と手段の関係が逆転しています。スポーツマンシップとは、「Good Gameを実現するための心構え」であり、スポーツを楽しむための原則、大前提なのです。それは言い換えると、「他者やルールを尊重し」「責任を持って決断する勇気をもち」「勝利をめざし全力を尽くして楽しむ覚悟」のことです。
野球をはじめとするスポーツは、本来「思考力」「判断力」「行動力」を鍛える場であることを忘れてはいけません。だからこそ、「スポーツマンシップ」の理解と実践が、改めて求められる時代となっています。
国際的なスポーツの祭典オリンピックにおいては、選手、審判、指導者がそれぞれオリンピック宣誓を行います。その宣誓文にもスポーツマンシップの精神が含まれています。ここで大事なことは選手だけでなく、審判、指導者も宣誓することです。
スポーツを通じて、選手たちを真の「スポーツマン」に育てることがみなさんの大切な役割です。人生を豊かにし、あなたの指導を受ける子どもたちはもとより、周囲にいる家族や友人にも良い影響を与えることになるでしょう。スポーツマンを増やすことは、健全な野球界、健全なスポーツ界、健全な社会や世界を実現するために不可欠であることを理解してください。
ちなみに、Good Gameを実現するための心構えとして大切な条件は以下の3つです。
・Respect:相手、仲間、ルール、審判に対する尊重
・Braveness:責任を持って、自ら決断する勇気
・Resolution:困難を受け入れ、勝利をめざし、自ら全力を尽くしてやり抜く覚悟
これらの気持ちを持ちながらスポーツを楽しむ心構えこそがスポーツマンシップなのです。
だからこそ、この心構えを「選手宣誓」としてゲームに先立ち宣言します。
スポーツマンとしての振る舞いをするための心構えがスポーツマンシップであり、スポーツとスポーツマンシップを理解するGood Fellowがスポーツマンということです。
「楽しむために勝利を追求する」ことが重要なのであり、「勝つことだけを追求する」のではありません。指導者がこの順序を間違えた「勝利至上主義」という考え方がスポーツ界に蔓延しています。これが、体罰がなくならない大きな原因の一つともいえます。体罰は程度の問題ではないのです。指導者は指導している相手に対して、指導している間だけ責任を負うのではありません。目先の勝利を追ったトレーニングで体罰を受けることで、本来、思考力や自立心を育むべき年代における「適切な訓練」を受けられなかったプレーヤーが、その後、どのような人生を歩むのか。全ての指導者は、プレーヤーの未来を預かる役割であることを考え続ける義務があります。
指導者の役割は、人間性を伴わないスキルの高い選手を育てることではありません。2020年の東京五輪で復活する野球は言うまでもなくスポーツの一つです。指導者の皆さんはスポーツマンシップの意味を理解し、野球を通して一人でも多くのスポーツマンを育てる意識をもっていただきたいものです。
抜粋/『公認野球指導者 基礎I<U-12>テキスト』
P9~14 2.スポーツマンシップとは(※一部を抜粋して掲載)
記事へのコメント