ジャンク5・島拓也 (前編) 侍ジャパンをも牽引する主将が感じたBaseball5の可能性「第一人者としてここから発展させていく」

10月に日本が準優勝を果たした「第2回 WBSC Baseball5ワールドカップ2024」。


侍ジャパンBaseball5代表の主将を担ったのが島拓也選手(ジャンク5)である。


4月の「第2回 WBSC ASIA Baseball5 アジアカップ2024」でも日の丸を牽引するなど、世界をよく知る男の競技人生に迫った。


(写真 / 文:白石怜平、以降敬称略)


チームとして挑戦するタイミングで競技に出会う


島がBaseball5と出会ったのは2020年の暮れ。


チームがジャンク野球団として社団法人化し、当時から野球の普及など社会貢献活動に力を入れていた。


そんな中、代表を務める若松健太・現侍ジャパンBaseball5代表監督が六角彩子(5STARs)と出会い、競技を知った。


同年12月にはジャンク野球団主催でBaseball5の体験会を開催し、チームの一員として参加したのが最初だった。


初めてやってみた時に感じたことを訊いた。


「ボールが柔らかいので手から滑り落ちたりもしたし、とにかく手が痛かったです(笑)。

野球との両立なので、その日のうちにボールが変わったりすると難しかったのですが、慣れないといけないのでとにかく練習あるのみでした」



地道に練習を重ねて技術を習得した



島は桜美林大時代に明治神宮大会準優勝の一員になるなど、高いレベルでプレーしてきた野球人。


他にも吉永健太朗(Hi5Tokyo)や小暮涼(5STARs)といった、甲子園の舞台に立った者でもBaseball5の違いや難しさを体感しており、島も例外ではなかった。


守りにおいても、「野球と一緒の投げ方だと難しいと感じていたので、その練習も必要でした」と攻守両面で競技の奥深さを感じていった。


大会開催という”目標”が一つの転機に


競技を始めた当初はまだ大会もなく、競技理解と個々のレベルアップのため、地道に継続をしていった。


約一年ほど活動を続けた22年に一つ大きな目標ができた。それが7月に新宿で行われた日本代表決定戦。


翌8月にマレーシアで行われる「第1回 WBSC ASIA Baseball5アジアカップ2022(第1回アジアカップ)」の代表チームを選出する大会だった。


「ここから明確な目標ができたので、そこに向けてのスイッチが入りました」と、これまで以上に熱を入れて取り組むことになる。


「試行錯誤しながら例えば『誰が一塁をやるのか』や『どのくらいのスピードで投げるのがいいのか』などを覚えていきました。それで上達していくと、楽しいと思えましたね」


ジャンク5は準優勝となり代表には届かなかったが、以降国内外問わず大会が開催され、自然とBaseball5の魅力へ虜になっていく。



チームプレーでも試行錯誤を重ねながら競技の楽しさを知っていった(6月撮影)


価値観を変えた第1回ワールドカップでの経験


島は早くも、同年秋に開催された「第1回 WBSC Baseball5ワールドカップ2022」の日本代表に選出。さらには代表主将という大役を務めることになった。


現在に至るまで侍ジャパンBaseball5代表の精神的支柱の一人であるが、当時の意外な考えと共に日の丸への想いを語った。


「日本代表は全く考えてなかったです。『いいな海外に行けて』と思っていました(笑)。ただ、22年のワールドカップではセレクションを受けられる機会があったので、ここまで来たらなりたいと挑戦しました。急に舞い込んできたチャンスでした」



第1回そして第2回とワールドカップで日の丸を背負った(10月撮影)



これまで2年近く地道に培ってきた実力を披露した島は、同じジャンク5の大嶋美帆・三上駿と共に代表入りを果たした。


会場のメキシコシティで多くの観客が注目する中プレーした7日間は、自身の実力をさらに向上させるとともに、価値観を大きく変える期間になった。


「こんなところでやっていいんだと思いました。最初のワールドカップということで、会場にいるみんながBaseball5の第一人者であった。なので、ここから競技を発展させていくんだと思えました。

しかも、1週間は”Baseball5漬け”なんですよね。なのでどんどん上手くなっていったんです。本当に楽しい期間でもありました」


大学生も”戦力”として伝えた感謝


ジャンク5としても常勝チームの牽引役を担う島。ワールドカップを経てその経験をチームへと注入していった。


「戦術や守りなど経験したことを伝え、練習で実践を重ねました。数をこなして自分たちができると『こうしたら、あぁなる』と因果関係が分かってくるので、それを探しては課題を潰す。そうやってまだ確立されていなかった戦術をつくり出していったのがこの数年でしたね」


チームとしても力をつけていったジャンク5は、2月に行われた「侍ジャパンチャレンジカップ第1回Baseball5日本選手権」で初代王者に輝いた。「自信を持って臨めた」と語ったこの優勝についても振り返った。


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