【BCC/野球指導者講習会レポート パネルディスカッション③】 「世界で勝つこと、世界で通用する選手を育てること」の実現に向けて提案された練習方法とエネルギー摂取


1月20日・21日の2日間、2023年度の野球指導者講習会 (BASEBALL COACHING CLINIC)が行われた。


年に一度行われる本講習会では、実技講習や講義に加えて指導現場に携わる方々を招いたパネルディスカッションが行われた。


テーマは「世界で勝つこと、世界で通用する選手を育てること」。


3部構成の最後は、伊藤博一氏(帝京平成大学 人文社会学部 経営学科 トレーナー・スポーツ経営コース 教授)と廣松千愛氏(全日本野球協会 医科学部会員)が登壇。


ここでは、練習方法・栄養面について展開された。

(文:白石怜平)


全3回の第3回。前回の記事を読む。


外遊びから生まれた新たな投球練習法とは


本編の最初に登場したのは帝京平成大学 人文社会学部 経営学科 トレーナー・スポーツ経営コース 教授の伊藤博一氏。投球・捕球動作に関する学術論文を数多く発表し、日本臨床スポーツ医学会にて学会賞を2度受賞した実績を持つ。


伊藤氏からは「野球の基本練習を再考する〜真下投げ・バックハンド捕球のすすめ〜」という題で進められた。



(帝京平成大学の伊藤博一教授)


最初にあるデータグラフを示した。

伊藤氏が投影したのは文科省が昭和39年度から実施している抽出調査「体力・運動能力調査」のデータ。11歳におけるソフトボール投げの記録が高い水準だった昭和60年度と比較して、令和4年度では男女ともに25%以上も記録が低下していることを示した。


なぜ、数値が下がってしまったのか。それは家庭用テレビゲームの普及や外遊びをする機会の減少といった時代の移り変わりにより、「投げ方」を習得する機会が減ってしまったことを挙げた。


ただ、伊藤氏は「焦る必要は全くありません」とし、かつて屋外で行っていた「投げ」を含んだ遊びを思い出すよう呼びかけた。


以下の図を用いながら「これらの外遊びは地面(重力方向)に向かって物やヒトを投げるという共通点があります」と例を挙げた。



(講演で挙がった外遊びの事例)


その中でも、「メンコ遊び」からヒントを得た投球練習法が「真下投げ」。伊藤氏は長年に渡ってこの真下投げの有効性を証明してきた。


「地面(重力方向)に向かって投げる真下投げでは、踏み込み足への大きな荷重、体幹部の前傾を含む大きく素早い回旋運動、肩甲骨の向いている方向へ肘の曲げ伸ばしを使ってボールを投げるなど、理想的な投球動作を容易に体現することができます」



(真下投げについての解説)


真下投げでの理想的な投球動作を、実際のキャッチボールやピッチングにつなげていくためには、例えば「水きり」の要領で、地面の目標を2m→4mと徐々に遠ざけていったり、真下投げと同じく近くの大きな目標に向かってボールを投げる「ネットスロー」などを間に挟むことが効果的であると説いた。


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