高校野球・連合チームの現在地 前編〜神奈川県7校連合〜

 

 毎年盛り上がりを見せる「夏の甲子園」全国高校野球選手権大会。2023年の参加チーム数は昨年より61チーム少ない3,486チームとなった。4,163校だった2002年、2003年から減り続けている。そんな中、部員不足の学校による連合チームは日本各地で増え続けている。2023年の夏は、昨年より16チーム多い128の連合チーム(385校)が各地の予選に参加した。

 全国2番目の参加(167チーム)規模を誇る神奈川県に、7校(釜利谷、田奈、永谷、横浜明朋、横須賀南、海洋科学、平塚農商)による連合チームが夏の県予選に参加した。

 今回7校連合チームの指揮を執った横浜明朋高校・高信智史監督に話を伺った。


赴任当時から「連合チーム」ありき、練習に工夫を

ーーーまずは、ご自身の野球経歴について教えてください

 神奈川出身で、少年野球から高校3年生までは野球をやっていました。中学は地元の学校で軟式、高校は湘南台高校というところで、硬式でプレーしました。私が3年生の時は、全体で30名前後の部員がいました。

ーーー大学進学と教職

 野球は高校3年生で一区切り、大学で続けるのは厳しいかなと思っていました。結果的に中学・高校免許は両方取得したんですが、当初は「絶対高校野球」というわけではありませんでした。ですが、最終的に高校の免許を取得したところで、高校野球にも携われたらなという想いはありました。

ーーー高校野球の良さについて

 同級生とは今でも連絡を取り合いますし、そういう繋がりであったり、あとはやっぱり上下関係ですね。野球をやるということのほかに、繋がりや人間関係ということを学べたかなと思います。

ーーー野球部の顧問を務めることに

 顧問になってからは今年で4年目になります。学校では保健体育科を教えています。2020年のコロナが流行し始めた頃と同時に着任したような記憶があります。赴任当初の4月は3年生2人、2年生2人。新入生が2人練習に来ていましたが、大体グランドには4人、5人で動いていました。

ーーー連合“ありき”でのチームづくり

 顧問を始めた頃の3年生は入学した時からずっと連合チームだったと思います。単独でチームを組めてたいたのが7〜8年前だったと思いますので...。

今年の夏を戦ったのは2年生2人のみですが、2人とも一生懸命やる子たちでした。それゆえ、2人の様子、顔色をうかがいながら、これぐらいはやってほしいなというメニューを提示しながらも、きつそうだな、しんどそうだなと思う時には途中で切り上げることもありました。練習メニューは臨機応変に、その場その場で考えることが多かったです。

ーーー部員2人と行う練習メニュー

 バッティングは基本ティーバッティング、ロングティー、鳥かごのような囲いの中で打たせることが多いですね。実際にマウンドから投げてというような形式は、各校での練習の中ではなかなかできないです。ノックについても、ランナーはまず付けられないので他の顧問で手が空いている人が外野ノックの時には中継に入るという形を取ることでで少しでも実戦に近づけようとしています。


週末のチーム練習で連携を深める

―――守備位置決めはバランスを見て

 自チームの選手2名は外野と捕手ができたので、連合チームの他の学校の選手とのポジションはうまくはめ込んでいました。この夏はピッチャーとキャッチャーが定まっており、THEエースという感じの選手がいたんですが、今は新チームになって、そこの核となる選手が定まってはいないので、ピッチャーは目星を立てて2〜3人で回すようにして、誰がキャッチャーをやってもいいような状態という形を取っています。夏の大会では1試合通して投げられるのがそのピッチャーの子と、キャッチャーとしてもしっかり守れるのもその子しかいなかったので、もう2人に任せていました。

ーーー連合チームにおける中心選手の存在

 ピッチャーをやっていた子がリーダー気質というか、俺について来いという感じで引っ張っていく側でした。かつ、ピッチャーとしてもしっかり投げられていたので、まわりもついていくというか、うまくコミュニケーションは取っていたかなと思います。

ーーー連合チームでの全体練習

 基本土日は連合チーム全員での練習というかたちです。体調不良、学校行事、進路活動含めて休みもあったりはしますが、なるべく集まろうということで比較的みんな集まってくれていました。大体は中間地点で集まっていましたね。普段なかなか練習ができない投内連携の部分でミスが出るとやっぱり大量失点に繋がるので、そこで逆にそつなくアウトを取れるとロースコアというか接戦で試合を持っていけてるなという印象はありました。2023年夏のチームに関しては、3年生は3年間ほとんど一緒にやってきているメンバーでの連合チームだったので、それ以外の2年生をまとめても投内連携はそつなくできていました。仕方ないことかもしれませんが、個が強く出てしまいわがままに動いたり、打撃面では自分が犠牲になるとか、この状況でどうしたらいいという理解に関しては少し惜しかったので、得点に繋がらなかったり、逆にそこで失点になってしまったりというのはありました。

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