新宿のど真ん中で、野球の大会!?Baseball5日本代表決定戦レポート


 都心のど真ん中、新宿・住友ビルの三角公園は言わずと知れたイベントスペース。普段から様々なイベントが行われているこの場所だが、17日(日)にちょっと変わったイベントが行われた。会場に響くDJブースから流れる音楽、半袖短パンのユニフォームを着た選手たち、キッチンカーで食事を楽しむ人々。

 野球界で新たな一歩となるBaseball5日本代表決定戦が新宿・住友ビルの三角広場で開催。今までの野球界のイメージと全く違う印象となった都市型イベントの様子を取材した。


 今年で日本への野球伝来150周年となった2022年。8月にはプロアマ記念試合として行われる「U-23NPB選抜対大学・社会人選抜」の記念試合が行われることが話題となっているが、そんな野球界で新たな一歩となる「Baseball5 日本代表決定戦」が開催された。



 Baseball5とは、2017年に世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が発表した“手打ち野球”の進化版とも言えるアーバンスポーツだ。元々のルーツがキューバにあるこの競技は、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)vの幹部が子供たちが行なっている手打ち野球をヒントに、新アーバンスポーツとしての可能性を感じ、この競技をヒントにBaseball5を公式競技化。ボール一つと21m四方(ファールゾーンを含む)の場所があれば体育館でも土のグラウンドでもどこでもできる気軽さが特徴で、ルールもかなり簡素化されている。この競技のシンプルさが、ヨーロッパやアフリカといった野球となじみが少ない地域で受け、急速に拡大し、2026年のユース五輪の正式種目になることが決まっている競技だ。

 日本では、体験会が2019年に初めて開催され、本格普及に乗り出そうとした矢先に、新型コロナウィルスが感染拡大し、代表選考が止まっていた経緯がある。そんな競技が2年が経過した今年、ついに代表決定戦を行うこととなったのである。

 前日の7月16日(土)には明治神宮外苑室内球技場で、関係者のみの予選大会が実施され、全国から応募があったチームの中から8チームが出場。2ブロックに分かれ、総当たり戦が行われ上位各2チームが17日(日)に行われた決勝ラウンドに進出した。決勝ラウンドでは、キッチンカーが出店されたり、DJブースが開催されたりと今までの野球イベントとは違う雰囲気で行われた。



(左からMCのパトリック・ユウ、ゲストの森日菜美、ゲスト解説の坂口裕之)


 MCは東京ヤクルトスワローズやBリーグ・サンロッカーズ渋谷のスタジアムDJを務めるパトリック・ユウが務め、会場解説ゲストには、社会人野球・高校野球の解説でも知られる坂口裕之、特別ゲストにドラマ、モデルでも活躍する森日菜美が登場し、試合展開や注目ポイントを解説した。また、会場は世界最大規模のDJ大会で優勝経験もあるDJ・RINAが試合展開に合う選曲で観客と共に盛り上げた。



(DJ・RINAが試合展開によって曲まわしで会場を盛り上げた)



 決勝大会では、それぞれ16日の予選ブロック1位通過を果たした東京ヴェルディ・バンバータと5STARsが決勝で対戦。試合は、両者譲らぬ展開となったが堅い守りと隙のない走塁で得点を重ねた東京ヴェルディ・バンバータが3対2で5STARsを下し、第一回の優勝を果たした。

 優勝した東京ヴェルディ・バンバータは東京ヴェルディスポーツクラブの選手を中心に結成されたチーム。タレントの稲村亜美さんが参加したことで注目を集めたがチームとしては、軟式野球チームから現役選手が2名、元社会人野球選手が1名、ヴェルディのバレーボールチームから参加。また女子メンバーは元女子ソフトボール選手と女子野球経験者というチーム構成となった。

 軟式野球チームから今回チームに参加した齋藤卓拓は「大学まで硬式野球、今は軟式野球と経験してきましたが、Baseball5は全く違うスポーツ。グローブを持たないので守備の感覚が全く違うので戸惑った。」としながらも決勝戦では好プレーを連発。

「チームとして練習が満足にできたわけではなかったが、チームメンバーでの連携が良かったと思う。大会を通してBaseball5の攻め方などチームの戦略面も成長できた。」と語った。

 また、キャプテンを務めた本池太一は、「野球では、男女混合で行うことはないので、初めての感覚が詰まったスポーツだと感じた。野球経験のない選手もいきなり試合に出られたり、良いスポーツだと思いました。決勝は、観客含めて盛り上がりがあり、とても楽しかった。ヴェルディはいろんなスポーツから選手が集まったが、もっといろんな競技の選手とプレーができたのは楽しかった。男女でのコミュニケーションもあったりするので、男女混合ダブルスのあるスポーツから選手が入ってくるとさらに面白いかもしれない。まだまだ可能性があるスポーツ。」と語り、プレーヤーにとっても初めての大会でさらに可能性が見えた大会となった。



(WBSC Baseball5公認インストラクターの六角選手も出場)


 なによりこの大会を通して笑顔でプレーする選手、相手のプレーにみんなで拍手が起きる雰囲気、盛り上がる観客の姿を見て、アーバンスポーツとしての可能性を垣間見れたとともに、スポーツの楽しさを改めて感じれる時間となった。Baseball5は、まだまだ始まったばかりのスポーツで、競技人口も多くない。ただ、今後は世界的にオリンピック種目の可能性も取り沙汰されるニュースポーツとして今後、発展していくことが予想される。アーバンスポーツとして多くの人が熱狂する世界もそう遠くはないかもしれない。


※(追記)

17日の「第1回 Baseball5 日本代表決定戦」で優勝、代表権を獲得した東京ヴェルディ・バンバータの派遣手続きの段階で、「アジアカップ」の参加規約にある「コロナワクチン接種」を期日までに満たすことのできない選手がいることが判明。応募条件では総選手数が7名を下回った場合は代表権を取り消し、次の順位のチームを繰り上げ、代表チームとするとしていることから、当該チームより日本代表としての派遣可否について照会を受け、直ちに、派遣元である全日本野球協会は臨時のコンプライアンス委員会を開催。そして当該チームからの経緯報告、照会内容、参加規約の精査を行ない、代表権を取り消し、同時に、今回の派遣条件に基づき、決定戦において準優勝した5STARsを日本代表として「アジアカップ」に派遣することとなった。

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