2021年、日本野球界悲願であったオリンピックの金メダルを獲得。そして、2022年を迎え、日本野球界としてリスタートを切る一年を迎える。アマチュア野球も国際大会の再開が予定される中、全日本野球協会会長(代表理事)である山中正竹氏に特別インタビューを行った。
第四弾は日本野球伝来150周年について、さらには野球人としての備えておきたい考え方をお話しいただきました。
ー 2022年は日本野球伝来から150年。改めて野球の価値を考える
150年のうち、私がどれだけ関わってきたのか、振り返ってみるとおよそ半分近く関わっていることにも驚いています。私がなぜそんなに長く野球に関わっているかといえば「野球が面白い」からという理由だけなのです。野球は人生を豊かにしてくれるという言葉は本当だなと。1872年に開成学校のアメリカ人教師ホーレス・ウィルソンが日本に野球を伝えてくれたのですが、これは日本人にとってありがたい出来事だったなと私は思っています。また私の近くにはそういう思いを持った野球競技者が多くいることが誇らしく思いますし、野球が発展・繁栄し続けて日本のスポーツとしてトップであり続けた150年間であったなと改めて感じています。
しかし、今その野球がスポーツの多様性、少子化、競技体質などさまざまな原因で競技人口減少になっている現状については、ただただ悲しいなと感じています。様々なスポーツをプレーする人が多くなることは、喜ばしいことでそれは否定することではありません。が、その一方で、この150年の間に野球に関わった人たちはこれからの100年、150年で今の野球界の良い部分を維持し、さらに繁栄させ続けることが、使命であると考えています。決して簡単なことではありませんが。
ここでもやはり、皆さんに考えていただきたいのが発信することです。野球の素晴らしさや野球の価値というものをきちんと認識し、多くの方々に多く伝えていくという思いがあれば、間違いなく野球界は良くなっていくと思います。そんなコミュニティの中で野球をもっとうまくなりたい、強くなりたいという思いを持つ人たちに対して指導者との出会いや、指導のために科学の必要性やメンタルの強化を考えるきっかけ提供して化学反応につながってくれればと考えています。
ー 山中会長が野球人に必要だと考える「品・知・技」
野球界を考えていく中で、私が普段から大事にしている言葉に「品・知・技」という3文字があります。「品」は品性、「知」は知識や知性、「技」は技術です。野球の質を高めていくには、この三つを高めるという考え方です。知識というのは品性を保つために必要で、知識を得ると技術も上がります。逆に品性の劣化は、知の劣化から始まります。知の劣化は技の劣化にも繋がります。この考え方のもと、行動するようにしており、そういった意味で三つそれぞれを高めることで、野球の質を高められるように普段から取り組んでいきたいものです。
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