Homebaseでは、アマチュア野球の指導現場において怪我やリハビリの情報など、医学的な情報を得ることができない方々のために、医学から見る野球カテゴリを作成いたしました。サイト公開に先立ち、全日本野球協会医科学部会 部会長である渡邊幹彦 氏に、指導を行う上での医学との向き合い方についてお話しいただきました。
野球はもちろん、すべてのスポーツでケガや故障のリスクはつきものです。特に野球の投動作は、人体の自然な動きとは異なる動作が含まれており、どうしても肘や肩、関節など人体に負荷がかかってしまいます。そのため、何らかの原因でバランスが崩れてしまう、とケガや故障の発症となってしまいます。このリスクを回避するためには、日頃から予防策を取ることが重要です。少年野球の日本ポニーベースボール協会、日本高校野球連盟などでは球数制限、ケガや故障防止策として肘肩検診が実施され、ケガや故障の予防への意識は高まっていると思われます。
しかし認識が高くても、現在の対策で十分かと言われると、そうではありません。投球制限はすべてのカテゴリーで採用されているわけではありませんので、指導者が球数を制限ケースもあります。また、球数制限通りに投球をしていても、悪い投動作のため肘や肩を壊してしまう選手もいます。さらに、ケガや故障をした選手を診察した医師の中には、プレーを続けさせることを拒む人も見受けられます。これでは、選手たちがプレーを続けたくても、ケガや故障に怯えながら野球をすることになり、本来の楽しさを体感することができなくなります。
ケガや故障の予防において一番大切になるのは、現場の指導者と野球にかかわるスポーツドクターが一体となって取り組むことです。現場の指導者においては、練習や試合などにおいて選手たちの体調を入念にチェックするとともに、コミュニケーションを取って体の状態を把握してください。最低限の医学的知識は必要となりますが、わからない部分はスポーツドクターの協力を仰いで、選手にプレーを楽しく続けてもらう策を考えましょう。私たちのようなスポーツドクターは、予防における重要事項を現場に落とし込み、ケガや故障をしてしまった選手に対して、“やめさせる”以外の選択肢も提示し最善のケアをしていただければと思います。
以後、このカテゴリでは、指導者とスポーツドクターの間に一体感を生むための、さまざまな事例や意見を発信してまいりますので、ご覧いただければ幸いです。
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