審判ライセンス制度はなぜ、どのように始まったのか

 アマチュア野球界で審判員の制度を見直すきっかけとなった審判ライセンス制度。Homebese開設にあたって 全日本野球協会でアマチュア野球規則委員会(アマ規則委員会)関連事務担当の高橋大地氏に制度をご紹介いただきます。

 


 

 一般財団法人全日本野球協会アマチュア野球規則委員会が認定する審判員の資格制度(略して「ライセンス制度」)の運用が始まったのは2015年4月ですが、話はそれよりも8年ほどさかのぼります。当時(2007年以前)からアマチュア野球界では、審判員の「高齢化」や「なり手不足」といった課題が顕在化していました。2008年、日本アマチュア野球規則委員会(当時)の総会にて、将来の審判員制度のあるべき姿などを検討するための「審判制度研究会」が設置されました。そして、同年7月に各団体の審判員組織に関するアンケート調査が行われます。結果は予想されていた通り、「高齢化」や「なり手不足」といった回答が多く寄せられました。そこでも現在の課題は、連盟/協会に関係なく全国的なものであることが裏付けられました。

 審判制度研究会は翌2009年12月に「審判制度のあり方に関する答申」をアマ規則委員会に提出しました。その内容の一つが「ライセンス制度の導入」でした。詳細は割愛しますが、その後、制度の在り方に関わる様々な協議・検討、また各団体への説明を重ね、2014年6月の一般財団法人全日本野球協会の理事会において、2015年4月よりライセンス制度をスタートさせることが承認されました。

 このあたりの経緯の詳細は、BFJホームページの公認審判員に関する資料内の「制度概要[PDF]」に詳しく書かれていますので、ご興味のあるかたはそちらの資料をご覧ください。

 

 

 

 ライセンス制度の目的は「アマチュア野球審判員の技術の向上および人材の確保」となっています。審判技術やルールに関する知識を「級」によって明確化することにより、技術や知識の向上意欲を高めたり、3級から最短で3年ほどで2級に、さらに3年ほどで1級や国際審判員になれる環境を用意したりすることで、若い審判員や新たに審判員になる人が目標をもち審判員を続けたいと思えるようにする意図が含まれています。

 もちろん、ライセンス制度の導入には反対意見や慎重な声もありました。ボランティアでやっている審判員について資格を求めるのは酷であり、離反者を招くのではないかという意見もありました。このような場合には、各カテゴリーの都道府県ごとの連盟/協会/審判協会等の判断で、級なしで登録だけできる仕組みを用意しました。さらに、ライセンス制度の導入から3年間は移行期間とし、この間は各審判員が所属連盟/協会の裁量で級を割り振れるようにしました。(現在は移行期間が終わり、新しい審判員は3級または級なしで登録され、昇級には試験合格が必要となります。)

 このようにしてライセンス制度はスタートしたわけですが、制度開始時点、すなわち2015年4月1日時点の登録審判員数は34,413名、うち1級が9,933名(28.9%)、2級が1,1108名(32.3%)、3級が10,647名(30.9%)、級なしが2,725名(7.9%)となりました。(※)

 

 現在、制度スタートから約6年半が経過し、2021年9月1日現在の登録数は総数36,965名、うち国際が26名(0.07%)、1級が11,027名(29.8%)、2級が9,783名(26.5%)、3級が14,564 名(39.4%)、級なしが1,565名(4.2%)となっています。登録審判員数やその変遷については、後日改めて記事をご用意する予定です。

 

 ※・・・名などの打ち間違えにより同じ審判員が二重登録となっていたことが分かった場合には、過去に遡って名寄せの作業を行いますので、集計のタイミングにより人数が若干変わる場合があります。


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