
高校野球の最高峰・夏の甲子園、社会人野球の最高峰・都市対抗が終わり、プロ野球も終盤を迎える秋。大学野球も佳境を迎える。
全国各地で開催される秋季リーグ戦がまさに今開催されており、それらの全国大会にあたる明治神宮野球大会が11月に待っている。今回は大学球児にとっての最後の大会にスポットを当て、全国への道筋や、各連盟の見どころ・配信情報を網羅的にまとめた完全ガイド記事を作成した。
春より狭き門の「秋の神宮」
春の「全日本大学野球選手権」は各連盟の“優勝校”がそのまま全国へ出場できる一方で、秋は“秋優勝→地区代表大会勝ち抜き→神宮”という二段ロケット構成となっているのが一般的。
つまり、同じ「全国大会」でも出場のハードルは春よりも秋の方がはるかに高く、よりハイレベルな戦いが繰り広げられるともいえる。秋の全国大会=明治神宮野球大会の出場校はわずかに11。
東京六大学連盟と東都大学野球連盟の2つに関しては、優勝校が自動出場するが、他の連盟ではどのような座組かはあまり知られていないのではないだろうか。本稿ではそれらの連盟ごとの「神宮出場条件」をまとめていく。
強さを誇る東京六大学&戦国東都
上述したように、東京六大学連盟・東都大学野球連盟の2連盟に限り、優勝校がそのまま秋の神宮切符を手にできる。これはそれだけ優勝が難しく、レベルが高いリーグであるとも言い換えられる。
◎東京六大学連盟
・神宮までの道:秋季リーグ戦優勝
・配信:BIG6.TV(SPORTS BULL内)で全試合ライブ無料配信。見逃しや特設もスポブルで網羅。
・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校(=全国出場校)と全国大会の戦績
2020年 早稲田大 (中止)
2021年 慶応義塾大 神宮大会準優勝
2022年 明治大 神宮大会優勝
2023年 慶応義塾大 神宮大会優勝
2024年 早稲田大 神宮大会2回戦敗退(ベスト8)
・編集部による見どころ
各大学に華があり、スター選手がそろい踏みする日本を代表する連盟。今年が創設100周年となる節目に、頭一つ抜け出している戦力を誇るのが早稲田大。現在、春秋3連覇中で今季も大いに期待がかかる。立教・法政・慶應・東大いずれも力があるが、対抗の筆頭は明治大か。直近は4季連続で2位とあと一歩で涙を飲んでいるため雪辱を果たしたい。
◎東都大学野球連盟
・神宮までの道:秋季リーグ戦優勝
・配信:プレミアムユニバーシティーズ(プレユニTV)で全試合配信。公式案内は東都連盟サイト/スポブルに集約。1部・2部の速報はスポナビ。
・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校(=全国出場校)と全国大会の戦績
2020年 亜細亜大 (中止)
2021年 國學院大 神宮大会ベスト4
2022年 國學院大 神宮大会準優勝
2023年 青山学院大 神宮大会準優勝
2024年 青山学院大 神宮大会優勝
・編集部による見どころ
言わずと知れた「戦国 東都」。その中でも近年ひときわ存在感を放つのが青山学院大。リーグ歴代タイ記録となる6連覇に挑む。多くの日本代表・ドラフト候補を擁する「青学」に対抗するのが、亜細亜・中央・國學院・東洋と、どこも全国トップクラスの選手層を誇る大学たち。直近で数多の入替戦や昇降格を経験する駒澤大も上位進出を目指す。
東日本エリア各連盟の歴史と見どころ
◆北海道ブロック (神宮1枠)
・対象連盟:札幌学生野球、北海道学生野球
・神宮への道:各連盟の優勝校による北海道地区代表決定戦→1校が神宮出場
◎札幌学生野球連盟
・配信:UNIVAS(大学スポーツ協会)公式のYouTubeプレイリスト等で一部ライブ。今季も同様の運用が継続中
・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会の戦績
2020年 星槎道都大 (中止)
2021年 東海大札幌キャンパス 代表決定戦敗退
2022年 星槎道都大 代表決定戦敗退
2023年 北海学園大 代表決定戦敗退
2024年 札幌大 代表決定戦勝利(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退
・編集部による見どころ
ドラフト候補の投手陣を要する新王者・北海学園大を、毎年高いチーム力を作り上げてくる星槎道都大、昨年優勝の札幌大がどのように攻略するか。1部昇格の新興勢力・北海道文教大にも注目。
◎北海道学生野球連盟
・配信:無し (一球速報あり)
・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会の戦績
2020年 苫小牧駒澤大 (中止)
2021年 東京農業大学北海道オホーツク 代表決定戦勝利(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退
2022年 東京農業大学北海道オホーツク 代表決定戦勝利(神宮出場)、神宮大会1回戦敗退
2023年 東京農業大学北海道オホーツク 代表決定戦勝利(神宮出場)、神宮大会1回戦敗退
2024年 函館大 代表決定戦敗退
・編集部による見どころ
強豪の東農大オホーツクの連覇が続いていたところに函館大が昨秋は風穴を開けた。この2強に加えて、旭川大、北洋大が追う展開。公立勢の旭川教育大や釧路公立大の躍進にも期待したい。
◆東北ブロック(神宮1枠)
・対象連盟:北東北大学野球、仙台六大学野球、南東北大学野球
・神宮までの道:各連盟の優勝校3大学+6月開催の連盟トーナメントにおける優勝チーム1大学の計4大学による東北地区大学野球代表決定戦→1校が神宮出場
◎北東北大学野球連盟
・配信:無し (一球速報あり)
・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会の戦績
2020年 富士大 (中止)
2021年 富士大 代表決定戦敗退
2022年 青森大 代表決定戦敗退
2023年 八戸学院大 代表決定戦敗退
※富士大学も代表決定戦に出場し優勝(神宮出場)、神宮大会ベスト4
2024年 富士大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退
・編集部による見どころ
近年、大勢のドラフト指名や全国大会での躍進で話題となる富士大のみならず、八戸学院大・青森大なども肉薄する高い戦力を持ち、激戦必至の連盟。高校時代に無名だった選手が躍動するケースも多く、アマチュアファンにはたまらないリーグともいえる。
◎仙台六大学野球連盟
・配信:スポナビで全試合配信
・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会の戦績
2020年 東北福祉大 (中止)
2021年 仙台大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会1回戦敗退
2022年 仙台大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退
2023年 東北福祉大 代表決定戦敗退
2024年 仙台大 代表決定戦敗退
・編集部による見どころ
ここ5年は東北福祉大・仙台大で優勝を分け合う。両校ともに多数のドラフト候補を擁する楽しみな激突が今季も繰り広げられる。今春は東北福祉大が全国の頂点を獲り、リーグのレベルの高さを見事に示した。
◎南東北大学野球連盟
・配信:スポナビで全試合配信
・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会の戦績
2020年 東日本国際大 (中止)
2021年 東日本国際大 代表決定戦敗退
2022年 東日本国際大 代表決定戦敗退
2023年 東日本国際大 代表決定戦敗退
2024年 東日本国際大 代表決定戦敗退
・編集部による見どころ
東日本国際大が春秋8連覇中、秋は5連覇中と圧倒的な強さを誇るものの、秋の神宮切符はなかなか手にできておらず悲願を狙う。石巻専修大・東北公益文科大も常に上位に位置し、力がある。
◆関東ブロック(神宮2枠)
・対象連盟:首都大学野球、神奈川大学野球、千葉県大学野球、関甲新大学野球、東京新大学
・神宮への道:東京六大学・東都を除く上記5連盟の秋季リーグ戦優勝・準優勝の2校が関東地区大学野球選手権大会(通称:横浜市長杯)に出場し、優勝・準優勝の2校が神宮へ
◎首都大学野球連盟
・配信:スポナビで全試合配信
・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会の戦績
2020年 日本体育大 (中止)
2021年 東海大 代表決定戦敗退
2022年 日本体育大 代表決定戦敗退
2023年 日本体育大 代表決定戦準優勝(神宮出場)、神宮大会ベスト4
2024年 日本体育大 代表決定戦準優勝(神宮出場)、神宮大会1回戦敗退
・編集部による見どころ
近年の秋に限れば日体大の1強に映るが、春はここ5年間で桜美林大・東海大・帝京大も優勝経験があり、国立の筑波大は何度も準優勝を果たし、横浜市長杯に出場するという混戦模様。今年はどこが抜け出すか。
◎神奈川大学野球連盟
・配信:スポナビで全試合配信
・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会の戦績
2020年 桐蔭横浜大 (中止)
2021年 神奈川大 代表決定戦準優勝(神宮出場)、神宮大会ベスト4
2022年 桐蔭横浜大 代表決定戦敗退
2023年 桐蔭横浜大 代表決定戦敗退
2024年 神奈川大 代表決定戦敗退
・編集部による見どころ
近年は桐蔭横浜大・神奈川大で優勝を分け合うが、横浜商科大も常に上位に位置して虎視眈々とその座を狙う。過去3年は神宮大会から遠ざかっているが、21年・神奈川大が出場時には全国ベスト4を達成と非常に実力の高い連盟。
◎千葉県大学野球連盟
・配信:スポナビで全試合配信
・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会の戦績
2020年 中央学院大 (中止)
2021年 中央学院大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会優勝
2022年 国際武道大 代表決定戦準優勝(神宮出場)、神宮大会1回戦敗退
2023年 国際武道大 代表決定戦敗退
2024年 国際武道大 代表決定戦敗退
・編集部による見どころ
秋に限れば国際武道大が3連覇中だが、今春は城西国際大学が制覇。中央学院大は2021年秋に初優勝を果たすなど、どのチームが抜け出してもおかしくない。来年のドラフト候補・吉川投手を擁する千葉商科大も面白い。
◎関甲新大学野球連盟
・配信:スポナビで全試合配信
・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会の戦績
2020年 上武大 (中止)
2021年 上武大 代表決定戦優勝敗退
2022年 上武大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退
2023年 上武大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退
2024年 白鷗大 代表決定戦敗退
・編集部による見どころ
上武大・白鷗大の2強の争いが続くが、平成国際大・山梨学院大・新潟医療福祉大・松本大など第3勢力が常に入れ替わる混戦の連盟。一般的に6つの大学での1部リーグ戦(勝ち点制)を行う連盟が多い中、10大学の総当たり一発勝負というユニークな座組も見どころ。
◎東京新大学野球連盟
・配信:スポナビで全試合配信
・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会の戦績
2020年 創価大 (中止)
2021年 流通経済大 代表決定戦敗退
2022年 流通経済大 代表決定戦敗退
2023年 創価大 代表決定戦敗退
2024年 創価大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会
・編集部による見どころ
創価大を筆頭に、流経大・共栄大・東京国際大なども優勝を狙える力がある。近年は秋の神宮切符をなかなか手にできなかったが、昨年は創価大が横浜市長杯を制した勢いで神宮大会でも躍動し、全国準優勝まで一気に駆け上がった。
まとめ
東日本は“歴史と多様性”のエリア。伝統校の誇り、新興勢力の台頭、都市圏の混戦――それぞれの背景が色濃く交錯する。秋の神宮へ向けた最後の戦いには、日本の大学野球の「多様な顔」が凝縮されている。
特に東京六大学・東都を除いた関東5連盟による代表決定戦、通称「横浜市長杯」はドラフト候補がそろい踏みし、アマチュアファンの人気も高い。直近では、仙台六大学での仙台大vs東北福祉大のドラフト上位候補同士による投げ合いの直接対決も注目を集めた。ドラフト会議の直前に行われる秋だからこそ、スカウトも地方の球場へ集結するなど、大学野球ならでは、秋ならではの面白さが詰まっている。
以上、前編では東日本エリアの各連盟について紹介した。後編では西日本エリアを紹介する。
補足 【スポナビで試合配信を実施している連盟一覧】
【東北】
1、仙台六大学野球連盟 (開催中)
2、南東北大学野球連盟 (開催中)
【関東・甲信越】
3、千葉県大学野球連盟 (開催中)
4、関甲新学生野球連盟 (開催中)
5、東京新大学野球連盟 (開催中)
6、東京六大学野球連盟 (9月13日開幕)
7、東都大学野球連盟【1部】(9月16日開幕)
東都大学野球連盟【2部】(開催中)
8、首都大学野球連盟 (開催中)
9、神奈川大学野球連盟 (開催中)
【北陸・東海】
10、北陸大学野球連盟 (開催中)
【関西】
11、関西学生野球連盟 (開催中)
12、関西六大学野球連盟 (開催中)
13、近畿学生野球連盟 (開催中)
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