プロ・アマ合同の日本野球規則委員会は、2021年1月27日に協議を行い野球規則について2021年度における改正を発表しました。今回改正された12項目から(4)〜(5)についてご説明します。
(4)5.07(a)【原注】の改正
※5.07は投手に関するルールです。(a)には正規の投球姿勢に関する記載があります。
その中の【原注】の説明に下線部の文言が追加になりました。
【原注】 投手がサインを見終わってから、投手板を外すことはさしつかえないが、外した後にすばやく投手板に踏み出して投球することは許されない。このような投球は、審判員によってクィックピッチと判断される。投手は、投手板を外したら、必ず両手を身体の両側に降ろさなければならない。
投手が、サインを見終わるたびに投手板を外すことは許されない。
投手は投球に際して、どちらの足も本塁の方向に2度目のステップを踏むことは許されない。塁に走者がいるときには、6.02(a)によりボークが宣告され、走者がいないときには、6.02(b)により反則投球となる。
この【原注】については、OBRでは2017年の改正で2度目のステップを踏む“足”は軸足、自由な足のいずれも規則違反であることが書かれていましたが(“The pitcher may not take a second step toward home plate with either foot”)、日本の規則委員会は、2018年時点では、軸足を本塁方向へ大きくずらして投球する投手は確認していたのですが、なぜ両方の足を禁止したのか(“自由な足を2度ステップする”とは、どのような投げ方なのか)が分からなかったので、ただ単に「2度目のステップを踏むことは許されない」としました。しかし、2020年に実際に自由な足を本塁方向に2度ステップして投球していた投手の映像を確認できたため、「どちらの足も」を追加することにしたものです。
(5)6.01(d)【原注】の改正
※6.01は、妨害・オプストラクション・本塁での衝突プレイについてのルールです。
(d)には、競技場内に入ることを公認された人の妨害について説明があります。その
中の【原注】において、下線部のような変更が加えられました。
【原注】 本項で除かれている攻撃側メンバーまたはベースコーチが、打球または送球を守備しようとしている野手を妨害した場合については6.01(b)参照。審判員による妨害については5.06(c)(2)、同(6)および5.05(b)(4)、走者による妨害については5.09(b)(3)参照。
妨害が故意であったか否かは、その行為に基づいて決定しなければならない。
たとえば、バットボーイ、ボールボーイ、警察官などが、打球または送球に触れないように避けようとしたが避けきれずに触れた場合は、故意の妨害とはみなされない。かし、ボールを拾い上げたり、捕ったり、意図的に触れたりすることや、押し戻したり、蹴ったりすれば、この行為は故意の妨害とみなされる。
例──打者が遊撃手にゴロを打ち、それを取った遊撃手が一塁に悪送球した。一塁ベースコーチは送球に当たるのを避けようとしてグラウンドに倒れ、悪送球を鳥に行こうとした一塁手と衝突した。打者走者は三塁にまで到達した。妨害を宣告するかどうかは審判員の判断による。コーチが妨害を避けようとしが、避けられなかったと判断すれば、妨害を宣告してはならない。
この項で規定されている、攻撃側メンバー、ベースコーチ、審判員以外の、競技場に入ることを公認された人とは、具体的にはバットボーイ、ボールボーイや警察官などが該当します。このような人たちが打球または送球を守備しようとしている野手を妨害したとき、その妨害が故意でないときはボールインプレイで、プレイは続けられるとされていますが、故意のときは妨害と同時にボールデッドとなり、もし妨害がなかったらどのようになっていたかを判断して、その後の処置を取ることになります。そして、行為が故意であったか否かは、行為に基づいて決定するとされています。今回の改正では、故意と判断される行為が、より具体的に記述されました。
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