【対談/後編】日本の野球の未来は明るい!? これからの高校野球を語り尽くす 森林貴彦×阪長友仁

【本記事は、スポーツ × 科学で指導をアップデートするメディア『TORCH』よりの転載記事となります】


≪前編はこちら≫

今回は、高校野球において新たな取り組みを行う野球指導者二人をお迎えした。 一人は慶應義塾高校野球部監督の森林貴彦氏だ。2023年夏の第105回全国高等学校野球選手権大会で、同校を107年ぶり2回目の優勝に導いた。もう一人は、大阪の硬式少年野球チーム「堺ビッグボーイズ」の総監督であり「リーガ・アグレシーバ」という高校野球のリーグを主宰する阪長友仁氏。阪長氏はTORCHでは2度目のご登場になる。ここまで積み重ねてきた歴史をリスペクトしつつ、高校野球の新たな形を模索するイノベーター二人の対談を、前編と後編の2回に分けてお届けする。



自分で物事を決めることの面白さ 

ーお二人の「考える力」の原点をお聞きしていきたいと思います。まず、どんな幼少期を過ごしてきたのでしょうか。そして、これまでの最大の決断は何でしょうか。

森林氏(以下 敬称略):小学校は公立校に通っていて、当時は今と違って近所に子どもたちが気軽に遊べる公園があり、そこに行ったり、家の前の道路でプラスチックバットを振って野球をしたり。あとは甲子園も幼稚園ぐらいからずっと見て憧れていました。今考えても、幼少期に特別なことはありませんでしたね。


阪長氏(以下 敬称略):自分は変な奴でした。子どもの頃、僕は白い紙をつなぎ合わせてそこに道を描き、その上でおもちゃの車を走らせる子どもでした。あとはゲーム機を買ってもらえなかったので、たまに友達の家に行った時に面白かったゲームを、自分で紙で作ってみたり。新しい何かを作ることが楽しかったんです。誰も答えをくれないから、白紙の状態から考える。そんな幼少期でした。


森林:僕の場合、今でもよく覚えているのが高校時代の野球部での体験ですね。高校2年の夏が終わり、新チームになって上田誠監督(現在は、独立リーグ・四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズ球団代表)が就任されたんです。ある時、内野手とキャッチャーとピッチャーが監督に集められ「次の練習試合までに二塁への牽制をリニューアルしろ。自分たちで考えて動きやサインを決めろ」と言われ、練習が終わってから日が暮れて暗くなっていく中、みんなでああでもないこうでもないと相談しながら考えた。これが僕の中での、高校野球の一番の思い出なんです。上田さんがいらっしゃる前は先輩と自由に話すこともない、先輩が帰るまで帰らないで待つとか、いろいろなルールがあった。そこで上田監督が「古い高校野球を壊そう」と言って、上下関係も無くし、みんなでグラウンド整備をしたりと新しい試みを行っていった。その中で初めて、相談しながら自分たちで物事を決める経験ができました。


ー昔の高校野球は、言われたことをやるのが基本。監督の指示通りに動くのがいい選手でしたよね。

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