MLB球団のドラフトで指名される90%以上の選手が参加する、「Perfect Game(パーフェクトゲーム)」というアメリカの民間企業がある。
1994年に創設され、小学生から高校生までを対象にした大会やショーケースを開催。今では全米トップクラスの有望選手が集う舞台として知られ、ボビー・ウィットJr(ロイヤルズ)をはじめ多くの一流メジャーリーガーが飛躍するきっかけをつかんだ。MLBが運営しているわけではなく、アメリカ最大級のアマチュア野球団体だ。
近年は国際大会も主催し、2026年6月には中国の天津市で「Perfect Game 2026 12U Asia Pacific Zone Championship Tournament」を実施。ポニーリーグU12日本代表が出場し、見事優勝を飾った。
「まだ始まったばかりで、今回はプレオープンという感じでした。アメリカの大会に行ってから、本格的に始まるのではと思います」
そう話したのは、普段は関メディカルベースボール学院の代表を努め、同大会でポニーU12日本代表を率いた井戸伸年監督だ。
一体、パーフェクトゲームとはどういう舞台なのか。井戸監督に話を聞いた。
MLBスカウトが注目する「パーフェクトゲーム」
アメリカで開催されているパーフェクトゲームは、選手たちの球速や打球速度、肩の強さ、60ヤード走のタイムなど各プレーの指標をデータベース化し、ランキングで評価する。選手たちには自身をアピールする機会となり、MLB球団やアメリカの大学スカウトにとっては重要な情報源となる”ショーケース”だ。
パーフェクトゲームはU10からU18までの大会も主催しているが、昨年には大和ハウスプレミストドーム(札幌ドーム)でU15の大会を開催するなど、アジアで新たな動きを見せている。
今年6月には中国でU12の大会を開催した。日本、中国、台湾のチームが参加し、ポニーU12日本代表は予選リーグを4戦全勝で通過。準決勝を14対0、決勝を8対0で勝利し、優勝を果たした。井戸監督が振り返る。
「中学1年生を代表として連れていきました。中国や台湾にはポテンシャルの高い子がたくさんいましたし、アジアで野球をできたのはすごくいい経験になると思います」
中国の「MLB DC」というチームには、身長195cmで球速130km/h前後を投げる投手がいた。すでにMLB球団が関心を寄せている逸材だ。
台湾のチームにも球速130km/h超の投手が登板するなど、好素材がたくさん見られた。普段と異なるタイプの相手と対戦でき、さらにグラウンド外で交流を持てたことは、選手たちにとって国際大会ならではの意義となった。
世界と戦うことで広がる視野
アジア王者に輝いたポニー日本代表は、9月にアメリカのフロリダ州で開催されるワールドシリーズへの出場権を獲得した。
井戸監督は現役時代、ホワイトソックスとマイナー契約を結んでアメリカでプレーした経験を持つが、海外で野球をする価値をこう考えている。
「僕が行ったのは26歳のときですが、早い段階でアメリカを見るのはすごくいいと思います。野球だけではなく、国ごとの考え方の違い方も学べますからね。ワールドシリーズはフロリダのキャンプ地で行われると思いますが、同じ球団の敷地内にフィールドが8面くらいあります。そういう形式は日本ではなかなか見られません。今後選手たちが野球をする上で、何かの気づきになってくれたらと思います」
アメリカで開催されるワールドシリーズでは、アジア以上にパワーやスピードに優れた相手と肌を合わせることができるだろう。
アリゾナの恵まれた環境で世界トップと対戦できる経験に加え、井戸監督は新たな視座を持てることが、大きな価値につながるはずだと見ている。
「パーフェクトゲームという、大きな組織のなかでできることが一番のメリットだと思います。U12だけではなく、上のカテゴリーもたくさんあるので、そういう組織のなかでデータが残って注目されていけば、今後、海外に留学する子も出てくるかもしれません」
近年、MLBやアメリカの大学に挑戦したいと考える選手は増えるばかりだ。大谷翔平(ドジャース)や佐々木麟太郎(スタンフォード大学)の活躍が伝えられれば伝えられるほど、同じ道を目指したくなるのはある意味で当然だろう。
では、どうすればアメリカ球界に挑戦できるのか。そのチャンスにつながる一つが、日本では聞き慣れない”ショーケース”という機会だ。
*後編につづく
(文/中島大輔)

