【BCC/野球指導者講習会レポート】黒羽根利規氏が捕手の一連動作の中で説いた“足と手の意識の持ち方”

全日本野球協会(BFJ)が主催し、毎年行われている「2025年度野球指導者講習会(BCC)」。

4ポジション(打撃・守備・投手・捕手)に分けた実技講習を設けており、今回は最終回の捕手編をお送りする。

横浜・DeNAと日本ハムで計15年プレーした黒羽根利規氏が講師となり、主に参加者からの質問に答える形式で展開された。

「構え方で全てが変わる」

黒羽根氏は2005年高校生ドラフト3巡目で横浜(現:DeNA)に入団し、20年までプレーした。引退後は、BCリーグの栃木ゴールデンブレーブスにバッテリーコーチとして入団し2年間在籍。

その後は四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスで臨時バッテリーコーチを経て、昨年はオイシックス新潟アルビレックスベースボールクラブで同コーチを担当した。

捕手編の講師を務めた黒羽根利規氏

小学生から社会人まで幅広い指導者が参加していることを確認した上で、冒頭から質疑応答形式で、実演も交えながら展開していく。

質問ではキャッチングにおいてミット側の手を伸ばした方がいいかを問われた。まず自身が構えた際の腕の位置を示した上で、腕を伸ばし切った時とミットを体の手前に寄せた時のデメリットを解説した。

「(ミット側の腕を)伸ばし切った状態ですと動きが不自由になって、次の動きに繋げにくくなります。

今後は近すぎてしまうと、捕ってスローイングする際に一度下がらないと距離が取れなくなります。バッティングと一緒で、体と投げる腕の距離がしっかり取れないと強く投げられない。

捕るだけならいいですが、ここから次の動き出しとなった時にミスも起こりやすくなります。なので余力があってすぐ動かせるような位置でキャッチングはした方がいいと思います」

キャッチングでは腕に少し余裕を持たせる

これに関連して、構え方について説明を続ける。全員立った状態から、座って構えるまでの流れを自身の考えとして述べた。

「まず肩幅に広げて、左足を半歩前。それでつま先を少し外に開いてください。 そのまま真下に落とす。きっとこの状態だけでもキツいと思いますがさらにミットを前に出してください。

そこに自分の顔を少し近づけてください。そうしたら前傾になります。前に倒れそうになるくらいで我慢できるポジション。

あとは自分の体によって左右どちらに体重が掛かった方が構えやすいか。それとも均等が構えやすいのかをオリジナルで作っていきます」

つま先を開いた状態でしゃがみ、前傾させる

この構えを行うことで、一歩目を素早く動きやすくなることを根拠に挙げた黒羽根氏。そのメリットについても付け加えた。

「一歩目が速いということは余裕が生まれる。 余裕が生まれることで、スローイングに関して言えばコントロールできる・強く投げられることに繋がります。構え方で全部が変わるので、そこは意識していただけるといいかと思います」

スローイングでは足の意識がポイント

構えを学んだ後の質問では、次の動きとなるスローイング。練習ではオーバー気味に意識することで、試合に活かせるよう説いた。

「練習では捕ったところに右足を持っていくイメージ(以下上図)で、その時に手は使っていないです。試合そのままやろうとすると難しいので、練習ではより体を前に持ってくる感覚です。

試合は多少後ろに踏むかもしれないですが、意識づけはできると思います。 その何がいいかと言うと、強いボールを投げられるのは、右膝の上に重心があることだからです。(同下図)なので捕って投げる時、いかにこの形ができているかどうかなのです。

捕って投げる時に、しっかり膝の上に自分の重心があった体勢になると強く投げられるので、ぜひ注目してみてください」

捕った方向に右足を動かす(上図)と重心を右足側に寄せる(下図)

下半身の動きがとにかく大切と語る黒羽根氏は、ある箇所の無意識さが必要だと合わせて説明した。

「ステップでは手を持っていくパターンもありますが、それだとジャックルが起きやすい。 右足を捕る方向へ持っていけば手の無駄な動きを極力省けるので、スローイングに関しては全て足を意識して指導していただけるといいかと思います。手は意識しないことです」

ボールの握り替え時も足の動きを意識する中で行う

スローイングに関連して、ボールの握りかえについても言及。握り替えに関しては4パターンあるとして、一つずつ紹介を加えた。

「1つ目は捕った時にそのまま右肩に持ってくる。2つ目は捕ったらミットを少し自分の下に入れる(以下上図)。 そうすると重心が下がるので足が出やすくなります。

3つ目として特に手足の長い選手は捕ったらミットを(二点目のよりも)さらに下げる。下げることで距離ができます。(同下図) 手足の長い子を指導していた時に、立ちながらミットを下げるようにアドバイスしたらタイミングが合ったんです。

最後4つ目ですが、全て逆シングルで捕ったまま送球動作に入る。すごく難易度が高いのですが、一番速い方法です」

4パターンのうち2つ目の重心を一瞬下げる(上図)のと、3つ目の立ちながらミットを下げる(下図)

欠かせないスキルであるブロッキング

捕手の必須のスキルとして挙げられるブロッキング。低めの球を逸らさずランナーの進塁を防ぐためのテクニックについても質問が及んだ。

「ボールが落ちた時のタイミングで自分の体がどこにあるかがポイントです。来たボールに対して早くそのボールのラインに入れているかどうか。

早く入れば入るほど待っている時間ができますので、体を真下に落としやすい。もし遅れてしまうと動きながら当てるので、弾きやすくなります。

練習ではいかに早くボールのラインに入れるか取り組んでみてください。 そのラインに入ることによってこの形も作れるし、力みがなくなるので真下に落とせる。 真下に落とせたら次のプレーとして一歩目が早く動けることに繋がります」

ボールのラインに早く体を入れる

そしてワンバウンドの止め方へと話題が広がると、自身が経験する中で得たコツを惜しみなく伝授。ここでも実演を交えながら解説を加えた。

「ワンバウンドのポイントとしては、ボールが地面に着く前に入っていることをイメージしてください。着く前に入ることで、ここでもボールのラインに入ることになります。

あとコツとしては“L字”をつくることです。そのまま体を真下に落とすと、上半身が少し浮いてしまうんですよ。構えた時にL字を斜めに描く角度があって、それが真下に落ちやすい角度になるので、ボールをうまく止めることができます。

イメージとしては一度沈み込んで前に蹴る。重心の位置は明らかに一度沈んだ方が下になるので、安定性は増します。

それは真下だけではなく、左右に行った投球時でも一緒です。コツとしてはL字を意識して動くと重心の位置も落ちて、腰の角度も変えずに止められると思います」

上体が浮くケース
頭から膝にかけての“L字”を描いた形のケース

こちらも1時間の講習後、参加した指導者へメッセージを送る。それは捕手というポジションの難しさを知るからこその気持ちが込められていた。

「僕の想いとしましては、選手としっかり会話をして相手に合ったものを指導できるような知識を持っていていただきたいです。

ただ、キャッチャーは専門職で難しいポジションです。キャッチャーによって考え方は全然異なるので、積極的にこのような講習会へ出ていただいて、さまざまなキャッチャーの考え方を勉強しつつ選手に還元していただければと思います。

僕は今日1時間の中でお伝えさせてもらいましたが、僕の考えが全てでもないですので、先入観にとらわれずに選手に合ったものを指導してもらえれば嬉しいです」

1月下旬に行われた本講習は、今年も4つの実技カリキュラムを終えた。学童から社会人まで様々なカテゴリーの指導者が参加し、深い学びを得られる時間となった。

(了)

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