【第5回野球データ分析競技会レポート②】中央大学から2組がファイナリストへ!プロ野球ファンが示す社会人野球選手の特有値

2月14日〜15日の2日間にかけて行われた「第5回データ分析競技会」。

“データと現場をつなぐスペシャリスト”の育成を目的に開催され、今回も「野球の競技力向上」をテーマに25組が応募、6組がファイナリストへと進出した。

6組のうち2組は中央大学から進出しており、ゼミ生そしてプロ野球ファンを自負するチームがそれぞれ発表を行った。
※第5回野球データ分析競技会レポート①はこちらから

ストレートの「ノビ」に隠された2つの指標

中央大からの1組目はiDS酒折ゼミから。

「ストレートの『ノビ』の正体を探る!!」をお題としたプレゼンターの本田涼晴さんは、「狙っても打てないような空振りを奪えるストレートを“伸びのある球”として、このようなストレートを生み出す要因を探っていきます」と冒頭に述べた。

発表役の中心となった本田涼晴さん

更に深掘りしたiDS酒折ゼミの本田さん・澤想太さん・小林想さんの3名。

なぜ「空振り」を重要視したのか、その理由を以下のスライドで挙げた。

しかし、その後には「バットにボールが当たったインプレーの話」と続けた本田さん。

「まずはボールがバットに当たらなければ、打球は発生しないです。三振は基本的にはアウトになります」と、空振りの重要性を前置きし、本題へと移っていく。

「ノビのあるストレート」としてイメージされる4点を挙げ、それぞれに関係するデータ項目と照合しながら、空振りを奪う要因を分析した。

その結果としては

「投手の利き腕に関わらず、球が速いもしくは球がホップするようなストレートが空振りを取れるというのが見えてきました」と、相関係数の値が大きい項目から導き出した。

「球速」「ホップ量(縦方向の変化両)」と2つの要因を抽出したが、後者については更に深く掘り下げるべく、分析を進めていた。3名は、「縦方向の変化量は何の影響によって上がるのか」について検証し、その結果を発表した。

「左右両投手ともに、“球の回転軸”が縦方向の変化量へ影響を与えているのではないかという解釈が得られました。この結果より、投球フォームをオーバースローにしていくほど、空振りを取れるストレートを投げることができるのではないかという考察ができます」

そして発表は結論へ。

ストレートの「ノビ」の正体は、「球が速くて、さらに縦方向への変化量が大きい=ホップするものではないかという結論に至りました」として、イメージで挙げた4点に改めて照らし合わせた。

最後に縦回転と球速をアップさせるためのドリルを紹介し、報告を終えた。

プロ野球ファンが示した社会人野球独自のバレルゾーン

中央大2組目は同じくIDS酒折ゼミから参加の「中央大学のプロ野球ファン」。

プロ野球ファンの視点から見る「プロの常識は社会人野球に通用するか?」をテーマに、発表を行った。

「中央大学のプロ野球ファン」から参加の大川真利奈さん(写真左)と稲見駆さん(同中央)

登壇した大川真利奈さんは、プロ野球選手と社会人野球選手ではスイングスピードやパワー、フィジカルに差があるとして、「社会人野球のデータから導き出した得点期待値を元に、“バレルゾーン”について検証していきたい」と冒頭に述べた。

今回の分析軸である得点期待値(RE24)は、アウトと走者状況を掛け合わせた24パターンごとの平均得点を表すもので、プレーの得点貢献度を評価する指標である。

このRE24を元にプロと社会人のデータを比較すると、2つの発見があったという。

「一つ目は長打の価値です。本塁打・二塁打の値を見ると、両者の数値の序列がほぼ一致しています。つまり、長打こそが得点効率を最大化することは、カテゴリーを問わず共通してることが分かります。

二つ目は守備のノイズがある可能性です。野選出塁(フィルダースチョイス)や失策出塁は不運やミスによるものです。こうしたノイズを排除し、次は純粋に打球の質だけで評価していきます。

本分析では、簡易的なシミュレーションを行うことで、独自の社会人スケールを使用する正当性を示しました」

打球の質で評価するために機械学習を用いて分析を行った大川さんと共に登壇した稲見駆さん。

ここからプレゼンターを務めた稲見さんはまず、「プロのバレル(長打が最も出やすい打球速度と打球角度の組み合わせ)は社会人に合わないのでは」という仮説を立てた。

そこでバレルの指標である「打球速度」と「打球角度」を機械学習にて算出し、社会人野球の選手におけるデータを抽出。ここで以下2点を示した。

・153km/h以上の打球かつ平均20.6°のライナー

・打球角度は15°付近の強めの打球

最後に、社会人野球における打者タイプで細部の分析を行った。これは、上記の結果を踏まえて「チーム全員にライナーを打つように指導して良いか」という観点からの検証である。

ここではOPSを基準とし、測定対象内(21年〜25年までの都市対抗野球並びに社会人野球日本選手権)における打者225のうち上位30%の68人を強打者と定義した。

機械学習でRun Value(打者が攻撃においてどれだけの得点を創出したかを表す指標)と照らし合わせると、強打者は打球角度において8°〜35°の範囲で、強打者以外の選手は6°〜27°の範囲でプラスの値を記録。

つまり、強打者はフライへの意識・その他はライナー意識が有効と導いた。

以上の分析から出した結論としては、社会人野球の選手には独自のバレルゾーンが存在し、フライを打つかライナーを打つかは打者のタイプに応じて考える必要があると述べて発表を締めた。

ファイナリスト残りは2組。

最優秀賞と優秀賞の発表を紹介していく。※第3回へつづく

(取材 / 文:白石怜平)

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