高校野球・連合チームの現在地 後編〜神奈川県7校連合〜

入学者に野球経験者が非常に少ないという大きな課題

ーーー新入部員は0人

 今年は体験入部には来ていたんですが、最終的に部員として入った1年生はいなかったですね。運動部でいうと、今はどこも部員が少ないです。多くてもバスケットボール部が1チーム組めるくらい、サッカー部も1人、2人くらい、ソフトテニス部も男女あわせて4人とか。部活全体を見てもさほど変わりはないというか、そもそも学校全体でも部活動加入率が30%を切ってしまうくらいで、(他の高校と比べても)少ないかなと思っています。

ーーー部活動加入者減少の背景

 一つ目は、金銭面の課題。部活動をやるとなった時の道具の準備を含めての難しさなのかなと。

あとはそもそもの部活動への意欲の低さ。それよりもすぐに家に帰ってとか、ゲームしている方が良い、友達と遊んでいる方が良い、とかに負けてしまう現状はあるかなという印象です。

ーーー連合チームが当たり前の世界 

 連合チームは今後もっと増えるかなと思います。本校も(単独の出場は)ちょっと目処が立たないというのがあるので、やっぱり単独を考えるよりかは連合でより良くどう戦っていくかにシフトチェンジといいますか。私も着任してからずっと連合チームですので、そこの連合の中でどう一つのチームになって相手に戦っていくか、それこそ単独チームに負けないチームづくりが必要になるかなと思います。

私自身もそうですし、これまでの経験でいったら、連合チームの方が少数で単独が基本ではあったんですが、実際この立場になってみて、現状今の学校で考えると連合チームが前提で、単独での大会出場はまた別の話というところで一般的な高校野球とは逆にはなっていますね。

(写真提供:横浜明朋高校 高信監督)

野球という競技の特性上、道具の費用や、練習時間、暑いといったことを考えると、やっぱり野球離れも少しずつ増えてくると思います。単独でチームを組めない学校も増えてきて、連合チームも増えていき、そもそも連合チームというのが当たり前になってくるのかなと思います。その点、顧問のギャップと選手間の感覚のズレだったりがあるとは思うので、そこの埋め合わせは難しいなとは思うんですけれども、個人的には、今のところは、連合チームでどう単独チームに戦っていくか、ないし同じ連合チームでも負けない一つのチームをどう作っていくかというところを目指していこうと思います。

ーーー高校野球の現場で感じる小中学生の野球人口の減少

 話を聞いていく中で、中学までの野球経験者が各学年にいて4人とか。全体で男子が100人くらいいるのに野球経験者が4人、5人とか。そこまで減っていてもうその時点で母数が少ない中で、そこから部に入る子となったらもっと減る。全員が入るわけではないですし、今年みたいにゼロになってしまう。となると、やはり小・中とやっていなかったのか、それともやっている子が私立高校に流れているのか、どこか別に流れているのか、定かではないですけれども、やっぱり野球に関しては(競技人口が)減っているのかなと。その流れが高校年代まで影響を及ぼし、このような部員の少なさになっているんだと思います。

ーーー野球界全体の未来

 公園でボールが使えなかったり、スマホやゲームが普及したりというところで、そもそものスポーツ離れ、運動できる場所が制限されてしまうといった状況があります。その中で小学校のクラブチームだったり中・高の部活動、もう野球以前のところからキャッチボールであったり、ボール遊び等そういったところから野球に親しんでもらうこともこれから部員を増やすって考えると必要なのかなと思います。

野球部の顧問という立場で、「経験者の新入生来てください」といったことを言うのはなかなか難しいと思いますし、とはいえ小・中学校でも同じかな、どう興味を持たせるか、保護者の方や地域の方が、ボール遊びなどをできる環境を増やすのか、直近だとWBCとかを見て野球というものが面白いんだなとか感動するものなんだなという印象を付けられたら、ちょっと興味が湧く子が増えるのかなと思います。

周辺環境と時間の使い方というところで高校野球をする難しさはどんどん増してるかなという印象です。

ーーーすそ野を広げる重要性

 中学校や高校から野球を始めて部活に加入するということが、他のスポーツに比べて難しいのかなと思います。どうその入口を広くするかというのが大事なのかなと思います。

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