侍ジャパンBaseball5日本代表チーム 球都の地・桐生に集結 関東選抜とのエキシビジョンマッチで初の世界一へ弾みに

9月7日、群馬県桐生市で「新川公園野球フェス2024」が開催された。

10月7日〜12日に香港で開催される「第2回 WBSC Baseball5 ワールドカップ 2024」へと臨む侍ジャパンBaseball5日本代表のメンバーが新川公園に集結。

エキシビジョンマッチや体験会を通じて、”球都”桐生でその魅力を発信した。

「日本野球聖地・名所150選」の新川公園に集った侍戦士たち

侍ジャパンが訪れたのは新川公園。ここにはかつて桐生新川球場があった場所である。

終戦から3か月後の1945年11月24日、ここでプロ野球東西対抗の第二戦が開催されており、戦後のプロ野球が再び歩み出したリスタート地の一つでもある。

野球が日本に伝来して150年の節目の年だった22年には、その記念事業として一般社団法人日本野球機構などが認定した「日本野球聖地・名所150選」にも選ばれた。

日本野球史に残るこの特別な場所で、「JAPAN」のユニフォームを着た侍戦士たちがこの日も躍動した。

舞台となった「日本野球聖地・名所150選」の一つ・新川公園

「金メダルしか狙っていない」若松監督の決意

試合に先立って行われたオープニングセレモニーでは六角彩子選手と若松健太監督がチームを代表して壇上に上がった。

六角選手は日本が準優勝を果たした前回大会で「最優秀女子選手」「オールスターチーム」「最優秀コーチ」と3つのタイトルを獲得。

今年4月には優勝した「第2回 Baseball5 アジアカップ2024」でも「最優秀女性選手賞」に輝くなど、世界を代表するプレイヤーである。

日本におけるBaseball5の第一人者で、かつ唯一のWBSC公認インストラクターでもある六角選手。

そんな六角選手から特別に競技の概要やルールについて解説が行われた。

六角選手がBaseball5のルールなどについて解説した

続いては日本を率いる若松健太監督。前回大会と4月のアジアカップでも指揮官を務め、それぞれ日本を準優勝・優勝へと導いている。

アジア一に続き初の世界一を目指す侍ジャパン。日本代表チームの特徴について問われると、

「メンバーは走・攻・守の全てが揃っていますし、チームで集まって強化練習も続けています。ただ、同じグループでは強い国がたくさん入っていますので気持ちを引き締めています」

来月のワールドカップでは、設けられたA・B 2つのグループのうち、日本はBグループに所属。同グループは日本に加えて中国・フランス・メキシコ・チュニジアの計5カ国で組まれている。

8月にWBSCが発表した世界ランキングでは日本は5位。チュニジアが3位・フランスが4位にランクインしているなど、日本にとっても熾烈な戦いが待ち受けている。

優勝を狙うと宣言した若松監督

ただ若松監督は上述に加え、「ポテンシャルの高いチームです」と語り手応えを感じている。最後、ワールドカップへの意気込みを問われると力強く宣言した。

「前回は決勝でキューバに敗れました。そのキューバとどのくらい差が縮まったのかという挑戦でもあります。我々は金メダルしか狙っていないですので、ぜひ期待してください」

本フェスのもう一人の豪華ゲストには小島よしおさんが登場。セレモニーの前に子どもたちとともに会場を盛り上げた小島さんは、グラウンドでBasebal5を初めて体験した。

荒木恵司 桐生市長とともに実際に打席に立ち、再び会場を沸かせた。

特別ゲストの小島よしおさんも体験に

エキシビジョンマッチでは新ルールの確認も

この日はエキシビジョンマッチが行われ、侍ジャパンと関東選抜が対戦した。

関東選抜には22年のアジアカップとワールドカップで日本代表としてプレーした宮之原健選手など、日本代表経験者や3月の代表選考会に選出された面々が名を連ねた。

関東選抜の選手たち

また、侍ジャパンの大嶋美帆選手もこの試合では関東選抜入りし、女子選手をより一層盛り上げた。

試合では互いに選ばれた者同士による熱戦が繰り広げられた。アーバンスポーツらしいBGMをバックに響き渡る打球音で、通りかかった人が次第に虜になっていく。

華麗な動きから強い打球を放つ數田彩乃選手

外野には観客が自然と集まり、1試合が約15分で終わるほどのスピーディーさや攻守ともに見られる迫力に皆が目を奪われていった。

守備でも目が追いつかないほどの速さで結果が決まる

またこの試合では実況・解説席が設けられ、中濱瑞樹コーチと唐木恵惟子選手が試合の解説を行った。

なお、Baseball5では9月から新ルールが適用されている。その一つに走者と野手の衝突リスクを減らすため、三塁ランナーはホームプレートの代わりにバッターボックスを踏んで得点が認められる。

選手たちも新ルールを実戦で確かめる機会にもなった。

三塁からバッターボックスエリアを踏めば得点が認められる(左:辻󠄀東倫選手)

エキシビジョンマッチは2試合行われ、侍ジャパンが2連勝を飾った。

若松監督は、「対戦相手の関東選抜はレベルがとても高く、仮想ワールドカップの相手にはふさわしい相手でした。ですので打球速度や守備能力など、香港に行く前の対戦相手として意味のある試合だったと思います」と振り返った。

新ルールについての対応としては、「特にホームインの際の得点方法は、後日強化練習でしっかり実施予定でしたので、まずは雰囲気だけでも実感しようと話していました。この日は試合の中で確認できるいい機会になりました」

と、今後の強化練習でさらに定着させる考えを明かした。

終了後は全員からの抱負と体験会を開催

エキシビジョンマッチ終了後のセレモニーでは、侍ジャパンの選手全員が壇上へ。そこで一人ひとりが試合を観戦した方々に向けて、大会への想いを語った。

来月のワールドカップへと臨む侍ジャパンのメンバー

チームのキャプテンを務める島拓也選手は、

「本日は観に来ていただきありがとうございました。前回出場した時は決勝で惜しくも敗れて悔しい思いをしました。今回新たなメンバーで世界一を獲りに行きます。少しでも多くの方にBaseball5を知っていただけるよう、頑張って参ります」と優勝に向けて抱負を述べた。

キャプテンの島選手

六角選手も世界へ発信すべく、力強いメッセージを述べた。

「今日は素敵なフィールドで試合させていただけたことを大変嬉しく思いました。ここ桐生市から日本中そして世界中にBaseball5を発信し、私たちは世界一を目指してワールドカップを戦ってきます」

セレモニーを終えると、最後のプログラムとして体験会が開かれた。熱気冷めやらないグラウンドで、たくさんの子どもたちが列をつくった。

打席に立つと自らの手で打ち、グラウンドを駆け回った。参加した全選手そして見守った家族たちも笑顔が溢れ、競技を肌で知る機会となった。

体験会では子どもたちが楽しむ空間になった

いよいよ約2週間へと迫ったワールドカップ。侍ジャパンは目標の世界一に向け、今も鍛錬を重ねている。

(写真 / 文:白石怜平)

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