【Baseball5を学ぼう】ジャンク5×桜美林大学 Baseball5を通じた教育プログラムを展開 子どもたちへの運動機会創出から地域コミュニティの形成に

8月17日、東京・桜美林大学でBaseball5を活用した教育プログラムが開催された。

Baseball5日本代表選手や大学生と共に、地域の子どもたちへ運動や競技の楽しさを共有する時間となった。

(写真 / 文:白石怜平)

Baseball5を活用した教育プログラム

このプログラムはBaseball5のチーム「ジャンク5」と、桜美林大学のBaseball5 部に所属する学生により月1回行われているプログラム。

大学のある町田市および周辺地域の小中学生を対象に、今年3月にスタートした。

この取り組みは桜美林大学准教授である若松健太氏の尽力により実現した。

若松氏は、ジャンク5を運営する「一般社団法人ジャンク野球団」の代表理事であり、チームのGM兼代表を務めている。

ジャンク5は今年2月に「第1回 Baseball5 日本選手権」でオープン(15歳以上が対象)の部で優勝している強豪チーム。

22年に準優勝に輝いた「WBSC Baseball5ワールドカップ 2022」や今年4月に優勝した「第2回 Baseball5 アジアカップ2024」に代表選手を多く輩出している。

2月の日本選手権では初代チャンピオンに輝いた(若松氏:写真下段右、チーム提供)

若松氏はジャンク5のみならず、日の丸を率いる存在でもある。

今年4月に日本が優勝した「第2回 Baseball5 アジアカップ2024」、そして10月に行われる「第2回 WBSC Baseball5 ワールドカップ2024」にて侍ジャパンの代表監督として指揮を執っている。

本プログラムが始まった背景について、若松氏はこう明かしてくれた。

「女子児童の健康やスポーツ力を高めるプロジェクトとして始めました。特に町田市の女子児童は、体力の平均値が他の地域よりも低いというデータが出ています。私は教育に携わる立場として、地元の子どもたちや教育現場の力になりたいと考えていました。

またチームとしても我々は社団法人ですので、アカデミックかつ社会性を高める活動に挑戦することができます。公共性を持って取り組めることも強みと思い、プログラムをスタートさせました」

3月から始まった本プログラム

若松氏もこれまで本コラムに登場いただいた選手たち同様に、Baseball5の普及に向けて強い想いを抱いている。自身が教育者の立場だからこそ分かること・できることを活かし、競技とリンクさせている。

「競技普及のためには授業として行うことがよりスピーディーになると考えたんです。そのため、23年から桜美林大学では授業として導入しました。

ボールや専用ネットを揃え、さらに部活としても立ち上げたんです」

桜美林大学のBaseball5部(写真奥)も運営に参加している

本プログラムの運営メンバーはジャンク5と同大のBaseball部員で構成されている。

参加も強制することはなく、個々が主体性を持って自然と来るような環境が醸成されている。

この日も幅広い年代が集まった

Baseball5を通じた地域コミュニティ形成の場に

第6回目となったこの日、7名の小中学生が参加した。リード役を務めたジャンク5の選手・そして部の学生たちの人柄や競技にも惹かれ、新しく参加した子に加えてリピーターも多いという。

午前10時にスタート。

ジャンク5からは島拓也・大嶋美帆・唐木恵惟子の3選手がメインとして参加。いずれもこの10月ワールドカップに出場する侍ジャパン戦士である。

ジャンク5の日本代表選手(写真奥中央)がリードした

この時間は真剣勝負の舞台から離れ、選手たちは子どもたちと笑顔でふれ合うひとときとなった。

メニューは運営者同士でアイデアを出し合い策定。

走ることも4つのベースを使ったゲーム形式で行い、6歳〜7歳の子どもたちが楽しめるように工夫を凝らしている。

ボールとベースを使ったゲーム形式で子どもたちも全力で走った

続いてBaseball5のボールを使ったスローイングに。まずは近距離での下投げと上投げを交えながら徐々に後ろへと下がっていき、最後は塁間まで伸ばした。

ボールを使うことに慣れてきた最後は、2チームでの紅白戦を行った。

道具を使わず”ボール一つで誰でもできる”ことがBaseball5の特徴。子どもから大人まで、年齢・性別も問わず全員でそのボールを追いかけた。

最後は試合形式で競技を体験した

この試合の中にも、一つの工夫が盛り込まれていた。小学生低学年の子どもには打ちやすいようにあるものが活用されていた。

発案したのは東翔紀選手。大きくて投げやすいよう、キッズ用のハンドボールを導入した。

「小学校低学年だと通常のボールは少しハードルが高く、ソフトバレーボールだと大きすぎて捕れないし飛びすぎる。

ということでいろいろなボールを試した結果、最も手の収まりがよく感触の良かったボールがキッズ用のハンドボールだったんです」

キッズ用のハンドボールを導入した東選手

キッズ用のハンドボールも活用されている

約1時間のプログラムは終了。子どもたちは選手や部員たちに「今日も楽しかったです」と笑顔で語りかける様子も見られた。

若松氏は本プログラムの開催を継続していることについて、手ごたえと可能性を力強く語った。

「Baseball5を通じ、ボール一つで初めて会う人たちとすぐに笑顔になってプレーできているので、本当に人にとって価値のあるスポーツであると思っています。

このような大きな取り組みをしていかないと競技は普及・発展していかないと思いますし、我々は参加者・指導者・主催者・家族などすべての人を巻き込む環境づくりができているので、さらに進化していきます」

そして教育者としての立場も踏まえて、未来への想いも語った。

「Baseball5を通じた教育界へのイノベーションを47都道府県へと広げたいです。まだ誰もやっていないことにどんどん挑戦していきたいです」

Baseball5の特徴を活かして実現したプログラムは、地域コミュニティの形成に大きな力となっている。

今後も若松氏を中心にジャンク5は「教育」にフォーカスした活動をさらに展開していく。

(おわり)

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