Baseball5リーグ戦「B5.LEAGUE KANTO 2024」発足!日本を代表する選手同士がしのぎを削る国内最高峰リーグへ

世界中そして日本でも急速に普及されているアーバンスポーツ「Baseball5」。

4月のアジアカップで日本が初の優勝を飾るなど、実力も世界レベルへと発展している。

そんな中、6月に新たにリーグが発足した。その名は「B5.LEAGUE KANTO 2024」(以下、「B5.LEAGUE」 )。

関東近郊の7チームが参加し、主に東京都と埼玉県で月に一度のペースで行われている。

日本代表選手が所属するチーム同士が多く対戦し、レベルの高い真剣勝負が繰り広げられている。

今回はその「B5.LEAGUE」が発足したきっかけや戦いぶりについて特集する。

(写真 / 文:白石怜平、以降敬称略)

レベルアップそして普及の両面でプラスに

B5.LEAGUEの構想は今年の2月頃から本格的に動き出した。発起人は「5STARs」の六角彩子。

日本で唯一のWBSC公認インストラクターで、22年のワールドカップや今年のアジアカップで数々のタイトルを獲るなど、日本のBaseball5の第一人者として活躍している。

世界を代表するBaseball5プレイヤーである六角彩子

誰よりも競技を普及そして盛り上げたい想いを持つパイオニアは、ある課題を感じていた。

「競技がもっと盛り上がるためにも、一人一人レベルアップを図らなければいけないと思っていました。ただ、日本では大会が年に一度の日本選手権しかありませんでした。

 そうなると、日本代表候補選手とそうでない選手との間でモチベーションの差がすごく出てくるんです。選手権を終えたら1年も間が空くので、そこに向けて頑張り続けるには難しい部分がある。それが懸念点だったんです」

定期的に真剣勝負が繰り広げられる舞台になっている

そこで発想したのがリーグ戦の開催だった。継続的に真剣勝負の機会を設けることで各チーム全員が試合に向けて意識を高く持って臨むことができる。それが競技レベルの底上げにも繋がる取り組みになると考えた。

その実現のため、六角は各所の協力を仰いでいった。

「アジアカップに向けた日本代表練習の時に、『リーグ戦をやりたいと思っているんだけど一緒に参加しませんか』と各チームに相談して回りました。

 各チームそれぞれが試合経験を重ねたい想いを持っていましたので、みなさんに快諾いただきました。代表選手たちが所属しているチーム同士で対戦するので、レベルの高い試合を多くこなすことができると考えました」

Baseball5ならではの華麗なプレーを見ることができる

また、選手たちのレベルアップのみならず、これから門を叩く人たちのことも考え抜かれていた。

「これから普及するにあたって『Baseball5を観てみたい、どこでやっていますか』と聞かれたときに、リーグ戦をやっていますと言うことができます。そうすれば、実際に試合を観て興味を持ってもらい入団する、もしくは将来的にリーグに参加するためにチームを結成するなどに繋がればいいなと思っています」

そして7チームの想いが一つになり、構想から4ヶ月足らずで実現までたどり着いた。

6月からリーグ戦が開始された

各チーム1日2試合を消化

6/23(日)、埼玉県加須市の志多見小学校で最初のリーグ戦が行われた。

参加したのは「5STARs」、「ジャンク5」、「Hi5 Tokyo」、「GIANTS」の4チーム。この日は各チーム2試合が組まれた。

音楽をバックにプレーし、アーバンスポーツらしい雰囲気が醸成された。各試合前にウォーミングアップを10分ほど行い、真剣モードへと入っていく。

練習時から力強い音が響き渡った

試合が始まるとそのボルテージは上がり体育館中が熱気で包まれた。自ら舞い上げたボールを手でスイングし振り抜く。その打球音が音楽を裂いて響くとともに、素早い打球が放たれる。

観ている者はすでに守っている選手が送球している時にようやく追いつくかのような速さである。アクロバティックな守備でアウトにすると、守備側の笑顔と攻撃側の悔しさが交差した。

ベンチに戻る時はお互いにタッチを交わしながらすぐに切り替えて攻撃へと移り、Baseball5の特徴の一つであるスピーディーな展開で各試合が進んだ。

攻守交代も素早く行われる

日本代表や選考会参加選手も躍動

この日は3月の日本代表選考会や4月のアジアカップで日の丸を背負って戦った選手たちも多く参加し、六角が当初語っていた通り国内最高峰のプレーを観ることができた。

3月の代表選考会に参加したGIANTSの黒田響生(元巨人)は、プロアスリートらしい素速い打球を放つだけではなく、守備の前に落とし相手を撹乱させるなど頭も使ったプレーで存在感を放った。

打球の強弱を巧みに使い分けた黒田(GIANTS)

また、4月のアジアカップ優勝メンバーである唐木恵惟子(ジャンク5)も野手の間を広角に抜く打球を何度も見せ、日本代表選手の実力を見せた。

実際にリーグ戦を戦ってみて、

「相手がどんな攻撃をしてくるのかなど手探りな部分もある状態で、緊張感のある試合を行える機会が毎月あるというのが幸せな環境だなとつくづく思います。

 このリーグ戦を通して、個人、チーム共にレベルアップし、来年の日本選手権が更にレベルの高いものになるのが楽しみです」と高いモチベーションを語った。

レベルの高い試合を継続的に行える幸せを述べた唐木(ジャンク5)

この日は日本選手権を制したジャンク5が2連勝。同準優勝のGIANTSと5STARsが1勝1敗、Hi5 Tokyoが0勝2敗の結果だった。

リーグ戦が開始したことを踏まえ、アジアカップで日本代表コーチを務めた中濱瑞樹(GIANTS)は今回の取り組みについて、

「日本代表として共に戦ったチームメイトが敵になるのでやりづらい部分もありますが、戦えるのをとても楽しみにしていました。

 W杯で優勝するためには個々のレベルアップが必要です。リーグ戦を通して日本代表はさらに強くなると思います。球団としても野球人口の増加に繋がると注目されています」と更なる期待を込めて語った。

代表コーチも務めたGIANTSの中濱瑞樹

また、Hi5 Tokyoの吉永健太朗(日大三高-早稲田大-JR東日本、第93回全国高等学校野球選手権優勝投手)にも伺うとこう感謝を表した。

「レベルの高いチームと定期的に試合ができることは各チームの経験やモチベーション向上に繋がり、とても良い取り組みでありがたいです」

Hi5 Tokyoで代表も務める吉永健太朗

そしてこの舞台を創り上げた六角は実際にスタートしてみての手応えを語った。

「本当にこのリーグは選手たちみんなで創り上げたもので、みなさんがとても協力的なおかげで実現させることができました。

 選手たちは自分のプレーだけでなく、審判をしたりスコアを書いたりととても大変だと思います。その中でもみんな笑顔で協力してくれていますし、この選手たちが今後の日本のBaseball5界を引っ張っていく存在になると思っています。

 まだまだ課題は山積みですが、まずはスタートできたことに本当に選手一人一人に感謝したいですし、みんなで作り上げているリーグをたくさんの方に知って頂きたいです」

リーグ戦に参加した各チームが競技の未来を築く

そして最後、各チームの期待と共に走り出した「B5.LEAGUE」への展望をこう述べた。

「日本のBaseball5界最高峰のリーグにしていきたいです。リーグをやることで選手たちのレベルアップはもちろんのこと、正確なルールやスコアの書き方・読み方だったりとBaseball5の細かいところまで知るきっかけにもなると思っています。

 関東だけでなく、日本全国に拡げていけたらと思っています。そのためにはたくさんの方々の協力が必要です。今後につなげていく為にもまずは今年最後までしっかり走り切りたいと思います」

7月は6日に都内で行われ、埼玉では20日に6月と同じく志多見小学校で開催された。毎月の熱戦の積み重ねが、更に世界の舞台で飛躍する礎となっていく。

(おわり)

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