大学野球・秋リーグ完全ガイド(西日本編)

前編(東日本編)では、秋が「春より狭い門」である理由=“リーグ優勝 → 地区代表決定 → 神宮”という多段式ルートを確認した。

 

後編の本稿では、西日本エリアの秋季リーグ戦をまとめていく。

11月の明治神宮野球大会へとつながる道筋や配信状況、各連盟の最新勢力図を整理しながら「秋の大学野球のリアル」を網羅的に見ていきたい。


西日本エリア各連盟の歴史と見どころ


◆北陸・東海ブロック(神宮1枠)


対象連盟:東海地区大学野球、北陸大学野球、愛知大学野球


神宮までの道:各連盟の優勝校3大学+開催地区連盟の2位チームの計4校による「北陸・東海地区大学野球代表決定戦」を勝ち抜いた1校が神宮へ。

 ※2025年は、各地区の1位・2位の計6大学による代表決定戦(トーナメント)を実施。優勝1校が神宮へ


◎東海地区大学野球連盟


・配信:無し (一球速報あり)


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 中部学院大 (中止)

 2021年 中部学院大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退

 2022年 皇學館大  代表決定戦敗退

 2023年 中部学院大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退

 2024年 中部学院大 代表決定戦敗退


・編集部による見どころ

 全国的に珍しく、①まずは静岡県リーグ、岐阜県リーグ・三重県リーグの3ブロックでのリーグ戦を実施し、②その後に各優勝大学による東海地区大会を行い、③そこでの優勝(+準優勝)大学が上述の代表決定戦に進出するという3段ロケット構造。

 岐阜県の中部学院大が近年は強さを誇るが、三重中京大学や皇學館大学、国立の静岡大学なども優勝経験があり、最も神宮への道が過酷な地区と言えるかもしれない。


◎北陸大学野球連盟


・配信:スポナビで全試合配信

・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 福井工業大 (中止)

 2021年 福井工業大 代表決定戦敗退

 2022年 金沢学院大 代表決定戦敗退

 2023年 金沢学院大 代表決定戦敗退

 2024年 金沢学院大 代表決定戦敗退


・編集部による見どころ

 秋の代表決定戦は4年連続で敗退中と神宮の土を踏めていないが、春に強さを誇る福井工業大、秋3連覇中の金沢学院大を筆頭に切磋琢磨を繰り返してきた。今年こそは勝ち抜いて悲願を果たしたい。


◎愛知大学野球連盟


・配信:無し (一球速報あり)


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 中京大 (中止)

 2021年 中京大 代表決定戦敗退

 2022年 名城大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会ベスト4

 2023年 名城大 代表決定戦敗退

 2024年 名城大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会1回戦敗退


・編集部による見どころ

 名城大・愛知工業大・中部大・中京大・愛知学院大などが常に順位変動し、毎年どこが上位に食い込んでもおかしくない。近年は名城大が一歩抜け出し、秋3連覇うち2回は神宮にも出場と力がある。日本代表選手を擁する中京大・愛知学院大が奪還なるか。



◆関西ブロック(神宮2枠)


対象連盟:関西学生野球、関西六大学野球、阪神大学野球、近畿学生野球、京滋大学野球


神宮までの道:各連盟の優勝・準優勝校が「関西地区大学野球選手権(=代表決定戦=大阪市長杯)」に出場。

 第1代表決定戦は、事前に開催された関西オールスター対抗戦の優勝連盟にスーパーシードが与えられる。優勝チームが神宮へ。

 第2代表決定戦は、敗者復活方式のトーナメントで実施され、勝ち抜いた1校が2枠目として神宮へ。


◎関西学生野球連盟


・配信:スポナビで全試合配信


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 近畿大   代表決定戦優勝(神宮大会中止)

 2021年 関西大   代表決定戦敗退

 2022年 関西大   代表決定戦準優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退

 2023年 関西大   代表決定戦敗退

 2024年 関西学院大 代表決定戦敗退


・編集部による見どころ

 全国的に見ても実力校が揃い。関大・立命館・近大・関学・同志社大が毎年入れ替わりで優勝を争う。今年の春は近大が制したが、秋に強い関大が今秋に奪還なるか。国立大ながら京大も侮れない。


◎関西六大学野球連盟


・配信:スポナビで全試合配信

・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 大阪商業大 代表決定戦敗退

 2021年 龍谷大   代表決定戦準優勝(神宮出場)、神宮大会1回戦敗退

 2022年 大阪商業大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会ベスト4

 2023年 大阪商業大 代表決定戦準優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退

 2024年 大阪商業大 代表決定戦敗退


・編集部による見どころ

 大商大が不動の王者。全国大会でも勝ち上がる力があり、ドラフト候補も豊富。21年秋を制した龍谷大は毎年上位に食い込み、大阪経済大や京都産業大も優勝を狙える力はある。関西5連盟を勝ち抜くことも多く、非常にレベルの高い連盟。


◎阪神大学野球連盟


・配信:無し (一球速報あり)


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 関西国際大 代表決定戦準優勝(神宮大会中止)

 2021年 天理大   代表決定戦敗退

 2022年 天理大   代表決定戦敗退

 2023年 天理大   代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会1回戦敗退

 2024年 天理大   代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会ベスト4


・編集部による見どころ

 春秋通して天理大が8連覇中と独走中だったが、大阪産業大が今春ついに連覇を止めた。今秋は天理大が王座奪還なるか、はたまた古豪・大阪体育大が食い込むか。関西外国語大学、甲南大も力があり、混戦必至の連盟。


◎近畿学生野球連盟


・配信:スポナビで全試合配信


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 奈良学園大 代表決定戦敗退

 2021年 神戸大   代表決定戦敗退

 2022年 大阪公立大 代表決定戦敗退

 2023年 和歌山大  代表決定戦敗退

 2024年 奈良学園大 代表決定戦敗退


・編集部による見どころ

 奈良学園大を筆頭に、ここ4年は毎年優勝校が入れ替わる混戦模様。国立の神戸大(現在2部)や和歌山大も直近で優勝経験がある。しかしながら代表決定戦を勝ち抜いたことが一度もなく、他の関西の連盟から差をつけられている。今年こそは秋の神宮を目指す。


◎京滋学生野球連盟


・配信:無し (一球速報あり)


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 佛教大 代表決定戦敗退

 2021年 佛教大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退

 2022年 京都先端科学大 代表決定戦敗退

 2023年 佛教大 代表決定戦敗退

 2024年 佛教大 代表決定戦準優勝(神宮出場)、神宮大会1回戦敗退


・編集部による見どころ

 歴史ある連盟で、佛教大学が過去優勝63回と現在に至るまで長く王座の位置を守り続けてきた。花園大が今春2位、びわこ成蹊スポーツ大が昨秋2位など力をつけているので要注目。



◆中国・四国ブロック(神宮1枠)


対象連盟:広島六大学野球、中国地区大学野球、四国地区大学野球


神宮までの道:各連盟の優勝校が「中国四国地区大学野球選手権」に出場、2試合ずつ総当たり戦を実施し、優勝1校が神宮へ


◎広島六大学野球連盟


・配信:無し (一球速報あり)


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 広島経済大 (中止)

 2021年 近畿大学工学部 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会1回戦敗退

 2022年 近畿大学工学部 代表決定戦敗退

 2023年 近畿大学工学部 代表決定戦敗退

 2024年 近畿大学工学部 代表決定戦敗退


・編集部による見どころ

 近畿大学工学部と広島経済大が毎季優勝を分け合う二強構造。国立の広島大をはじめ、他大学がこの構造を崩すことができるか。また、代表決定戦は3年連続敗退中のため、近畿大学工学部としては久々の秋の神宮に向けて気合が高まる。


◎中国地区大学野球連盟


・配信:無し (一球速報あり)


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 環太平洋大 (中止)

 2021年 環太平洋大 代表決定戦敗退

 2022年 環太平洋大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退

 2023年 環太平洋大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退

 2024年 環太平洋大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会ベスト4


・編集部による見どころ

 秋に限れば5連覇中の環太平洋大。代表決定戦でも3連覇を果たし神宮の土を踏み続けている。しかしながら、今年の春は東亜大、昨春は吉備国際大が優勝と、勢力図に変化の兆しも。秋に強い環太平洋大が今年も力を見せ続けるか。


◎四国地区大学野球連盟


・配信:無し (一球速報あり)


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 高知工科大 (中止)

 2021年 高知工科大 代表決定戦敗退

 2022年 高知工科大 代表決定戦敗退

 2023年 松山大   代表決定戦敗退

 2024年 高知工科大 代表決定戦敗退


・編集部による見どころ

 かつては松山大・四国学院大が圧倒的な強さを誇っていたが、近年は高知工科大が秋を制している。その中で、今春は聖カタリナ大が創部初の優勝を飾るなど、新興勢力と古豪がぶつかる熾烈なリーグ。



◆九州ブロック(神宮1枠)


対象連盟:九州六大学野球、福岡六大学野球、九州地区大学野球、南部九州大学野球


神宮までの道:各連盟の優勝校が「九州四連盟代表決定戦」に出場、優勝1校が神宮へ


◎九州六大学野球連盟


・配信:無し (一球速報あり)


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 福岡大    代表決定戦敗退

 2021年 北九州市立大 代表決定戦敗退

 2022年 九州国際大  代表決定戦敗退

 2023年 福岡大    代表決定戦敗退

 2024年 福岡大    代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退


・編集部による見どころ

 古豪・福岡大を、北九州市立大、西南学院大、九州国際大が追う展開。今春は西南学院大が制し、全国でも2勝(ベスト8)を挙げるなどチーム力が高い。


◎福岡六大学野球連盟


・配信:無し (一球速報あり)


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 九州産業大 代表決定戦優勝(神宮大会中止)

 2021年 九州産業大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退

 2022年 九州共立大 代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会1回戦敗退

 2023年 九州産業大 代表決定戦敗退

 2024年 九州産業大 代表決定戦敗退

 

・編集部による見どころ

 九州産業大が49回、九州共立大が45回の優勝経験を持ち、2強が続く。また、代表決定戦も勝ち抜くことが多く、九州ブロックの中で力のある連盟と言えるだろう。2位に日本経済大、福岡工業大が食い込むこともあり、下剋上に期待。


◎九州地区大学野球連盟


・配信:無し (一球速報あり)


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 日本文理大  代表決定戦敗退

 2021年 日本文理大  代表決定戦敗退

 2022年 日本文理大  代表決定戦敗退

 2023年 日本文理大  代表決定戦優勝(神宮出場)、神宮大会2回戦敗退

 2024年 久留米工業大 代表決定戦敗退


・編集部による見どころ

 日本文理大が圧倒的な強さを誇り、優勝の常連だったが、今春・昨秋を制したのは久留米工業大と、勢力図を塗り替えてきている。今年はどちらに野球の神様は微笑むのか、はたまた他の新たな勢力が台頭してくるのか、目が離せない。


◎南部九州大学野球連盟


・配信:無し (一球速報あり)


・過去5年間の秋季リーグ戦優勝校と全国大会戦績

 2020年 東海大学九州キャンパス 代表決定戦敗退

 2021年 宮崎産業経営大     代表決定戦敗退

 2022年 沖縄大         代表決定戦敗退

 2023年 鹿屋体育大       代表決定戦敗退

 2024年 東海大学九州キャンパス 代表決定戦敗退


・編集部による見どころ:

 沖縄を含む広範なエリアで実施されるリーグのため、熊本地区・宮崎地区・鹿児島地区・沖縄地区でリーグ戦を実施の上で、各優勝校が南部九州大会に揃い、そこで連盟代表を決めるというユニークな座組。毎年のように優勝校が変わるため、今年はどこが抜け出してくるのか要注目。



まとめ

以上、東日本編に続き西日本エリアを網羅した。

大学野球の秋は「神宮切符」を懸けた熾烈な戦いが全国で繰り広げられている。同じ“神宮への11席”を争いながら、勝ち方は地域の文脈でまったく違う。それが秋の大学野球の面白さだ。配信情報も充実し、全国どこにいても観戦できる時代となった。

 

この秋はぜひ、各地のリーグ戦から明治神宮大会に至る「日本一への道」を追ってみてはいかがだろうか。



補足【スポナビで試合配信を実施している連盟一覧】

【東北】

 1、仙台六大学野球連盟 (開催中)

 2、南東北大学野球連盟 (開催中)


【関東・甲信越】

 3、千葉県大学野球連盟 (開催中)

 4、関甲新学生野球連盟 (開催中)

 5、東京新大学野球連盟 (開催中)

 6、東京六大学野球連盟 (9月13日開幕)

 7、東都大学野球連盟【1部】(9月16日開幕)

   東都大学野球連盟【2部】(開催中)

 8、首都大学野球連盟 (開催中)

 9、神奈川大学野球連盟 (開催中)


【北陸・東海】

10、北陸大学野球連盟 (開催中)


【関西】

11、関西学生野球連盟 (開催中)

12、関西六大学野球連盟 (開催中)

13、近畿学生野球連盟 (開催中)

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