
第10回執筆者:小山 吉男 (全日本軟式野球連盟・専務理事)
2025年5月5月は私たちにとって大切な記念日となりました。
高校軟式野球の交流試合が、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で初めて開催されたのです。全国高校軟式野球選手権大会が今夏で70回大会を迎えることを記念し、日本高校野球連盟が企画して下さいました。
全国から選ばれた50選手が東日本選抜と西日本選抜に分かれて試合し、西日本選抜が3-0で勝利しました。スタンドから観戦していて、選手のハツラツとした表情やプレーが印象的でした。いつも以上に張り切っているなあ、と感じました。
これこそ、「甲子園」の持つ魔力なのでしょう。
この舞台を経験することにより、選手たちは技術的にも精神的にも大きく成長したと思います。このような機会を続けていただければ、軟式野球に打ち込む選手たちにとっても、「甲子園」が目指す場所、目標になります。
この交流試合を企画して下さった寶馨会長をはじめ日本高校野球連盟の皆さまには感謝しかありません。私たち全日本軟式野球連盟に協力できることはないかと考え、「人を集めよう」と思い立ちました。
当日は約3,100人が甲子園に集まり、選手たちに拍手と声援を送ってくれました。私たちが近畿2府4県の連盟に呼びかけたことも、少しはお役に立てたのであれば、嬉しいです。
ブラスバンドも駆け付けて素晴らしい音色を響かせてくれましたし、現役の高校軟式野球部員らが音頭をとった自然発生的な応援風景にも心を打たれました。日本で生まれ育った軟式野球が、世代や組織といった垣根を越えて、甲子園で一つになったと感じました。
硬式ボールより軟らかいボールを使用する軟式野球は、全国各地で多くの皆さんに親しまれており、天皇杯や国民スポーツ大会を目指す大会には約1,800チームが参加しています。
小さいお子さんも安全に楽しめるスポーツで、大人になっても、さらに言えば年齢を重ねても続けることができます。60歳以上で編成される「還暦野球」、70歳以上の「古希野球」といった大会もあります。
女性の競技人口も増えていますし、男女一緒に楽しみやすいのが軟式野球の良さでもあります。
こうした特性を活かし、これまでも、これからも、日本球界のすそ野を支えていきたいと思います。
硬式ボールに比べて危険がなく、楽しくプレーできるボールとして、軟式ボールが考案されてから100年以上が経ちました。この大切な文化を未来へとつなぐために、頭も体もやわらかくして柔軟な発想と対応をしていきたいと考えております。
野球に硬式も軟式もありません。日本中の野球人、いや世界中のベースボールプレーヤーと手をつなぎ、手をとり合って野球界を盛り上げていきたい。皆さま、どうぞ、よろしくお願いいたします。
2025年5月5日、阪神甲子園球場のスタンドでそんな決意を新たにしました。
こやま・よしお
1951年、埼玉県出身。全日本軟式野球連盟専務理事。日本大学卒業後、大宮市消防本部(現さいたま市消防局)に勤務しながら埼玉県野球連盟でアマチュア野球審判員となり、軟式野球、大学野球、社会人野球などでジャッジする。都市対抗大会でも審判員として活躍した。2024年2月より全日本軟式野球連盟専務理事。
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