3月27日〜31日の5日間、香港で「第3回 Baseball5 Asia Cup 2026」(以降、アジアカップ)が行われる。侍ジャパンBaseball5代表に選ばれし10名の選手が、20日・21日と出国前最後の練習に臨んだ。
(写真 / 文:白石怜平、以降敬称略)
選手・監督の両方で国際経験を積んだ本池太一氏が監督に
侍ジャパンBaseball5代表は、2024年大会に続いてアジアカップ2連覇を目指す。今回の代表では、昨季ユース監督としてアジア一に導いた本池太一氏がオープンの部でも就任し、選手枠も8人から10人へと拡大した。
24年にアジア一そしてワールドカップで準優勝の原動力となった數田彩乃・三上駿・辻東倫・島拓也・六角彩子の5選手が引き続き代表入り。主将は新たに辻が担うこととなった。

国際体験の実績が豊富なメンバーに加えて、東翔紀・安立梨子・上村将大・城久美・衞藤奈菜という半数の5名が初めて日の丸のユニフォームに袖を通した。
上村は大学生で城と足立は10代であることから、次代へ継承される体制も整備されている。
本池監督は昨年のユースを率いたとともに、24年は代表選手としてアジアカップとワールドカップを戦っている。「責任を感じています」と初めに述べ、監督へと転身したきっかけを明かした。
「前回24年のワールドカップの決勝を終えたその当日、選手たちでたくさん話をしました。
さまざまな会話を重ねていく中で、今後さらに競技を普及させていくためにも、いずれは選手だったメンバーが指揮を執ることは大切である。そういった内容もありました。
であれば、年齢的にも自分がその役割を担わないといけないなと。そんな自覚が芽生えていました。昨年ユースでアジアカップとワールドカップで監督をやらせてもらったので、今回のオープンも私がやろうと決断していました」

昨年ユースで指揮を執った際は全員高校生だったため、同じ学校でプレーする選手以外ではほぼ初対面の急造チームであった。
ただ、オープンの場合は選手として世界を戦ったメンバーだけでなく、チーム間での交流、さらには衞藤と辻は所属する東京ヴェルディ・バンバータでチームメイトでもあるため、それぞれのプレースタイルは熟知している。
本池監督は、代表メンバー決定後は上記を踏まえてあるテーマを持って臨んでいたと語る。
「2月から我々も野球と同じ“キャンプ”だと掲げてハードにやってきました。毎週土日と祝日に練習を行っていまして、第1クール・ 第2クール・ 第3クールと分けて、今日(約3時間)の倍以上かけてやっていました。
キャンプでは、劣勢といったいかなる状況になっても戦えるようにすること。これがテーマでした。
例えば日本のトップレベルの男子だけで集めたチームを組んで試合をするなど、劣勢になりながらもそこから挽回できるような状況を意図的につくって取り組んでいました」
Baseball5では「試合ではダッシュした後にすぐ打席に立たなければならないシーンもある」と語った本池監督。
今回の練習でも、ライブBPを終えて攻守交代の都度全員でダッシュを数本重ねるなど、瞬間的な疲労を生み出した状況から次の打席へと入る鍛錬を多く重ねていた。

アジア一のさらに先を見据える世界の頂へ
男女ともに国際経験があるメンバーの一人として、六角と島に話を訊いた。
六角は日本のBaseball5における第一人者で、22年のワールドカップ・24年のアジアカップで最優秀女子選手に輝くなど、世界を代表するトッププレイヤーである。
この少し前まで數田と共にタイでトレーニングを積んでおり、「本当に今年こそは世界一を目指してやってるので、アジアカップもそうですし、その先の世界一を見据えてトレーニングをやっています」と調整を重ねてきた。

加えて、上述の通り若い10代から20代前半の選手も新たに代表入りしたことから、自らの経験などを伝えながら意思疎通を図っている。
「私の立場的にも、若い選手には思い切り良くできるような環境作りをしたいと考えて取り組んできました。
チーム内でも活発にコミュニケーションを取り合っていて、フィールド内外で年齢や実績関係なく練習の中でも意見し合っているので、すごくいい雰囲気になっています。
もちろん緊張するし、思うようなプレーができない時はどうしても出てきますので、どんどん前向きになれること伝えています」
六角は昨年ユースチームのコーチを務めており、指導者としても本池監督と共に戦った。この指導者の経験がさらにプレイヤーとしてもレベルアップした機会になったと語る。
「指導者の視野と選手の視野って全く違うと感じました。ベンチから戦況を見る中で、選手だと見れない部分がすごく見れたんです。
相手の心理状態もですし、相手の打順を考えて守備の配置をするなど、自分が選手の立場にもう一度立った時にまた一段とレベルアップできました。
指導者として視野を広く見させてもらったのがいい経験になって、プレーヤーにも活かされてるなと感じています」

そして侍ジャパンを22年のワールドカップから24年まで主将として牽引してきた島。今回から主将は辻へと引き継いだが、チームを引っ張る自覚を今も持ち続けている。
「新しいメンバーが増えていますし、私も年齢は上の方になるので、肩書きが外れたとしても変わらず引っ張る姿勢は見せなければいけないと考えています。
ですので、辻選手がキャプテンだから後は全て託すのではなく、少しでも辻選手の負担を軽減できるように後押ししていきたいです」

かねてから島は「日本の強みは緻密さを持った堅実な守り」と語っており、今回のチームでもそれを自負して一層強化していると述べる。アジア一、さらにその先を見据える頂のために、練習から意識していることを明かしてくれた。
「ワールドカップで戦ったキューバを抑える・キューバよりも強い攻撃をするためにというのを、常に練習で考えながら取り組んでいます。ただ、相手は世界No1の国ですし、練習だけで補うのは限界があります。
挫折というのは国際大会でしかできない経験です。それを経験したメンバーは限られるので伝えるのは難しい点でもあるのですが、若い選手が来て新しい風を吹かせてもらって勉強になっているので、私は経験などを伝え続けています」

代表経験のあるメンバーが核を担い、さらに若い新メンバーの成長も促している侍ジャパンBaseball5。今回新たに加わった5名もそれぞれ魅力ある特徴を持って代表入りを果たしていた。
(つづく)

