野球に限らずスポーツには、ケガや事故などのさまざまなリスクが伴います。そのようなことが起きないように対策することはもちろんですが、万一起きてしまった場合でも、初動対応を誤らず、正しい処置をすることが重要となります。
ここでは、U12世代の選手たちに練習やプレーをすることで起こりやすい肩、肘、膝の痛みについて紹介します。指導者の人たちには、これらを参考にして、選手たちのケガにいち早く気づき、対応できるようにしていただければと思います。
●上腕骨近位骨端線障害
投球により腕の骨の成長線が離開してしまう状態で、大人の骨のヒビに近い状態のことを示します。原因は投球が多い、肩に負担がかかる投げ方を続けているなどが挙げられます。
症状としては、投げ終わったあとに痛みが出ることが多くありますが、場合によっては、安静時にも痛みが出ます。このような症状が見られたら、肩の休息が必要となります。
※継続する痛みの場合には、病院を受診させましょう。左右の肩のレントゲンを比較するとわかります。
●上腕骨内側上顆骨端線障害
投球により、肘の内側の成長線が離開、開大、分節化してしまう状態を示します。原因は投球が多い、肩に負担がかかる投げ方を続けていることで肘の内側に負担がかかっていることが考えれます。
症状は、投げるときや投げ終わったときに、肘の内側に痛みがでます。時には安静時にも痛みます。症状が出たら休める期間をとってしっかり治す必要があります。
無理して継続すると将来の野球競技に悪影響を及ぼします。痛みが継続したり繰り返す場合には、病院で検査を受けるようにしてください。
●肘離断性骨軟骨炎(又は上腕骨小頭離断性骨軟骨炎)
肘の中の軟骨の一部が弱く不安定になる状態を示します。
こちらも、投球が多い、肩に負担がかかる投げ方を続けていることが原因と考えられています。症状は、肘が伸びなかったり、肘の外側に痛みがでます。
早期に発見され、きちんと治療できれば治る可能性が高いですが、診断・治療が遅れると非常に厳しい状態になるケースもあるのでU-12世代にとっては、要注意の疾患といえるでしょう。
肘が伸びない、痛みがある、痛みを繰り返すまま野球を続けることは非常に危険で、選手生命にかかわります。イラスト(下記)のように肘の伸びに左右差があれば病院を受診し、特別な撮り方のレントゲン検査か超音波検査を受けるようにしましょう。

※肩肘の痛みが継続したり繰り返す場合は、病院で検査を受けて、投球を休止し、下半身や体幹の練習に切り替え、ボールの握り方、投げ方をもう一度指導してください。
4)オスグッド病
骨が急に伸び、筋バランスが悪い時に、運動により筋肉や靭帯の骨についている部分が過度に引っ張られ炎症をもっている状態を示します。
特に身長が伸びている時期に、膝の前面が痛み、骨が突出します。うつ伏せで膝を曲げたときにかかとがお尻につかないことでチェックできます。

イラストのように、太もも前面のストレッチを毎日行いましょう。安静時に持続した強い痛みがある場合には病院を受診してください。
抜粋/『公認野球指導者 基礎I<U-12>テキスト』
P36~37 VI.指導者に必要な医学的知識(基礎)【年代別(U-12)】
3.野球に置いて起こりやすい肩・肘・膝の痛み(※一部を抜粋して掲載)

