プロ・アマ合同の日本野球規則委員会は、2021年1月27日に協議を行い野球規則について2021年度における改正を発表しました。ここでは、今年度に改正された12項目から(3)についてご説明します。
(3)6.01(a)(10)の改正
※6.01は、妨害・オプストラクション・本塁での衝突プレイについてのルールです。
(a)は、打者または走者の妨害についてで、(10)では、これまで以下のような記載がありました。
走者が打球を処理しようとしている野手を避けなかった、あるいは送球を故意に妨げた場合。ただし、2人以上の野手が接近して、打球を処理しようとしており、走者がそのうち1人か2人以上の野手に接触したときには、審判員は、それらの野手のうちから、本項の適用を受けるのに最もふさわしい位置にあった野手を1人決定して、その野手に触れた場合に限って、アウトを宣告する。(5.09b3参照)
今回の改正では上記の分に以下が追加されています。
走者がファウルボールに対する守備を妨害したとして、アウトを宣告され、これが第3アウトにあたる場合、打者走者は打撃を完了したものとみなされ、次のイニングの第1打者は次打者となる。(0アウトまたは1アウトのときは、打者はそのまま打撃を続ける。)
この規則は、ファウルテリトリに上がったフライを守備しようとした野手を走者が妨害した場合を想定しています。
妨害が発生したときの大原則は「打球(フェアボールとファウルボールの区別なく)を処理しようとしている野手の妨げになったと審判員に認められた走者は、それが故意であったか故意でなかったかの区別なくアウトになる。」(インターフェアに対するペナルティ【原注1】)です。
したがって、0アウト1アウトのときに、このような妨害が発生した場合は、走者がアウトとなり、打者はファウルボールで1ストライクが加算され、打ち直しとなります。
しかし、妨害が2アウトのときに発生した場合については、これまでは規則上、明確な決まりはありませんでした。
この点については、これまでも規則委員会では何度も検討されてきましたが、2013年のプロ・アマ合同委員会では、2アウトのとき、妨害が故意でない場合は走者アウトで、打者は次回の先頭打者として打ち直しとなり、審判員が故意と判断した場合は打者をアウトにすると解釈を統一していました。
しかし、今回の改正を機に、再検討した結果、これまでの解釈を改めることになりました。
前記【原注1】の後段には次の記載があります。「正規に占有を許された塁についていた走者が、フェア地域とファウル地域との区別なく守備の妨げになった場合、審判員が、その妨害を故意と判断したときを除いて、その走者はアウトにはならない。審判員が、その妨害を故意と宣告した場合には次のペナルティを科す。0アウトまたは1アウトのときは、その走者と打者とにアウトを、2アウト後のときは、打者にアウトを宣告する。」
つまり、妨害が故意であるかどうかが問題となるのは、正規に占有されて塁についている走者であって、塁を離れている走者については、初めに示した大原則の通り、故意であるかどうかには関係なく妨害が成立し、アウトになることが再認識されたからです。
そして、追加された改正条文には「打者は打撃を完了したものとみなされ、次のイニングの第1打者は次打者となる。」と明記されました。この「打撃を完了した」と「打者アウト」はイコールではないと考えられ、2アウト後に走者の妨害が発生した場合には、打者が打ち直しとなることはないことが明確になりました。
なお、この場合記録上は、打者に打数1と残塁1が記録されることになります。
そして、この考え方は、6.01(a)(2)「打者または走者が、まだファウルと決まらない
ままファウル地域を動いている打球の進路を、どんな方法であろうとも、故意に狂わせた場合」にも適用することとし、この場合も2アウト後であれば、打者は打撃を完了したとみなし、次のイニングの第1打者は次打者となることが確認されました。

