試合における「アウト」から見る野球というスポーツ

 近年、野球の「見る」「する」「支える」のうち「支える」で重要な役割を担う審判員の人数が減っています。

なり手不足の問題の原因の一つとして、「難しそう」「ルールを覚えるのが大変」と良く言われますが、今回はアジア野球連盟審判長を務める小山克仁氏が、子供の少年野球を始めるにあたってサポートするお父さん審判員を目指す人たちへ、簡単でジャッジのポイントを解説いたします。

 さて今日は、これだけを知っていれば野球の審判員ができる編の続きです。当初の13項目の中で大事なルールが「アウト」になるケースです。審判員はセーフ・アウトをジャッジすることで試合を進行していきます。

 下記の5つは、アウトのパターンの中でも最も基本的な5つになります。

① 打者が3回空振りして捕手が捕球したらアウト → 5.09a(2)(3)
② 飛球を捕球したらアウト → 5.09a(1)
③ 打者走者が一塁到達前にアウト、いわゆる内野ゴロ、振り逃げ三振 →5 .09a(10)
④ 走者のフォースアウト → 5.09b(6)
⑤ 塁を離れている走者にタッチしたらアウト → 5.09b(4)

 現在の野球の試合での9イニング54のアウトのうち、野球草創期から取り決められていたこの5パターンは何%くらいあるでしょうか?

 実は1試合平均で、95%以上はこの5つのアウトが占めるということが最近の記録からもわかります。

 野球の「アウト」になる形は、見ている人もわかりやすいのです。フライアウトが一番わかりやすく、次が空振り三振。内野ゴロは一塁への送球のタイミングが、打者走者が一塁に触れるタイミングより早いのか遅いのか。これは、盗塁や本塁タッグアウトでもタイミングを見ていたらだいたいわかります。

 つまり、野球のルールはたくさん記述されていますが、簡単にルールを覚えやすいものなのです。これを自分から難しく考える方が多いですが、難しく考えてしまうことでルールはつまらなくなります。

 野球のルールは、過去に起きた事例をについて、次に起きたときにはこのように扱いますよ…と取り決めた事例集なのです。野球の歴史を知ると、アメリカ社会を知り、日本社会の変遷も知ることもできます。

そして、野球がアメリカ国民から愛されるよう、どのように品位を保ってきたかもわかります。

 ルールを知ることは、さまざまな背景まで考えるととても面白いことなのです。ぜひ、審判員をすることで、楽しく選手たちとグラウンドで緊張感を共有してみるのはいかがでしょうか。

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
目次