【ONE TAP SPORTS活用法6回】新潟明訓を秋季大会優勝に導いた「アプリ活用」「班制度」「文武両道」

新潟明訓高校は2024年秋の新潟県大会を制し、2022年秋以来となる15回目の県大会優勝を果たした。

 

快挙の裏にあったのが、約1年前に導入したONE TAP SPORTS(ワンタップスポーツ)だ。

じつは数年前から主力投手のケガやインフルエンザなどコンディション不良が続き、望ましい結果を残せていなかった。そんな折に野球部OBからワンタップスポーツを紹介され、島田修監督はすぐに導入を決めた。

目的は3つある。

(1)健康管理に興味・関心を持つこと

(2)データの蓄積で自身のコンディションを把握すること

(3)規律を守ること

 

新潟明訓ではワンタップスポーツのアプリに「体重」「睡眠時間」「疲労度」「補食の内容」などを入力しているが、毎日記録を続けることで上記3つの目的を達成できるのではと島田監督は考えた。

 

結果、2024年夏は甲子園出場を果たした新潟産業大学附属に3回戦で敗れたものの、故障者を出すことなく臨むことができた。

 

そして秋、2年ぶりの優勝を飾ったのである。

「夏、秋と体調不良者が続出することもなく、久々に悔いのない戦いができました。そういう面でもワンタップスポーツの効果はあったと思います」(島田監督)

「自分との約束」をどう守るか

 

2019年に就任した島田監督は近年、「コンディショニングの重要性が増している」と言う。2020年に新型コロナウイルスが感染拡大、さらに気候変動で酷暑対策も不可欠になっているからだ。

「もっと自分の体に目を向けないといけないよ」

 

体調不良者が続出して苦しんだ過去があるからこそ、選手たちに意識改革を促してきた。

 

その際に中心を担うのが「トレーニング班」だ。

 

新潟明訓は昨年から班制度を採用し、「風紀」「環境整備」「データ」「技術」「トレーニング」「コーディネート」のいずれかに部員全員が属している。

 

トレーニング班の役割は「体調管理と強化の両立」で、以下を担っている。

・健康管理と健康対策

・アプリ(※ワンタップスポーツ)の活用、運営及び指導

・コンディショニングとパフォーマンスの向上に関すること

・Mトリションの徹底(※Mトリションはニュートリションとかけた造語で「補食」のこと)

・週ごとのトレーニング計画の作成

・トレーニングメニューの理解と研究

・テーピング技術等の習得

・計測データの管理と活用

 

ワンタップスポーツを最大限に活用するには、日々の入力を続けることがカギになる。

 

新潟明訓では「最初は怠けている者もいた」(島田監督)が、トレーニング班が責任を持ち、部員たちが毎日データを入力しているかどうかの管理をしっかり行った。

 

そうして今年夏にはワンタップスポーツの活用が習慣化され、秋も十分なコンディションで大会に臨むことができた。

「ワンタップの効果は多いですね。選手たちが自分のコンディションに気をつけるようになりました。入力を習慣化することは約束を守ることにもつながります。

スポーツも社会も約束で成り立っていますが、一つの約束を守れるチームは二つ、三つと守れると思います。個人はどうしても弱いので、人と交わした約束は守るかもしれませんが、自分との約束を守るのは難しい。

でもワンタップスポーツの入力は自分の中でやらないといけないことなので、主体性にもつながっています」(島田監督)

Z世代に合った組織構造

 

主体性は近年の教育で重視されており、野球選手の成長にも不可欠だ。自分で考え、行動する力をどのように育んでいくか。そうした面で、導入して3年目になる班制度も役立っている。

 

この仕組みが設けられたのは、キャプテンがなかなか決まらなかったからだ。

 

現代の高校生の気質を考えると、以前のように一人のキャプテンが先頭に立って引っ張るという形より、もっと組織的な構造のほうがいい。島田監督はそう考えて班制度を考案した。

「ある先生から聞いた話ですが、昔のリーダーは“蒸気機関車型”で良かったと。蒸気機関車は一つの動力で、後ろの何十両も引っ張っていきます。

対して新幹線は、一両ずつ動力がついているから速いわけです。みんなで力を結集する新幹線型のほうが、Z世代には合っているのではと思いました。

キャプテンが先頭に乗っているなか、風紀班やトレーニング班など6つの班を置き、それぞれの車両にリーダーがいる。部員全員がどこかに乗車する仕組みをつくったことで当事者意識が生まれてきました」

文武両道を実現する「逆算」

 

加えて部員たちを成長させているのが、学校全体で掲げる「文武両道」だ。妥協せず、高い志を実現させるために、島田監督は「まずは寝る時間を決めなさい」と伝えている。

「睡眠時間から逆算して行動を決めることが、時間をクリエイトすることにつながります。学校の課題や風呂、スマホを見る時間など、『1日をこう過ごそう』とコーディネートする。

弱い自分と戦うには根気が必要ですが、自分自身をコントロールする。そして練習にコンセントレイト(集中)する。そうすると必ず時間をクリエイトできます。その時間に勉強すればいい。疲れているなら寝ればいいわけです。時間をうまく使わないと文武両道はできません。

苦しいですが、文武両道に挑戦することは部員のためにもなるし、野球部のためにもなっています」

 

ワンタップスポーツの活用や班制度という組織の仕組み、そして学校の理念を踏まえ、自分自身を高めていく。新潟明訓が2年ぶりに果たした秋季大会優勝は、一連の取り組みによる果実だった。

(文:中島大輔、写真提供:新潟明訓高校)

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