Go(ゴー)!Stop(ストップ)!Call(コール)!…He’s out! 千葉県柏市のJR東日本野球部柏野球場で、総勢約60名の審判員たちの迫力ある声が響き渡った。新型コロナウイルス感染症の影響で開催中止となっていたアンパイアスクール(BFJ・NPB共催)が、3年ぶりに復活。Go-Stop-Callで響く審判員受講者の声には、このスクールの開催を待ち望んでいた思いが強く込められているようだ。
Go-Stop-Callのあと、1日目のカリキュラムは「ピボットの仕方とコーンドリル」「球審の基本動作」「1塁フォースプレイの見方」と続いた。プロアマ双方の講師の説明は大変きめ細かく、初心者から上級者まで役に立つ情報が満載だ。基本の確認はもちろんのこと、より見栄えよくジャッジを行うコツについても説明があった。またプロアマトップレベルの講師陣に、直接質問ができるのもこのスクールの魅力の一つ。例えば球審の基本動作では、受講者から「捕手が内角に構え、打者も本塁ベース寄りに立ち、通常のスロットポジションをとれないときにどうするか」という質問があった。投球をきちんと目で追える位置取りをするのは当然として、そのための方法については、講師によって少しずつ回答が異なるところが面白い。審判技術は基本が大切なことは当然として、上級になるには、臨機応変な対応・工夫も必要であることがわかる一幕であった。

その後、アンパイアスクールのメインカリキュラムでもある二人制メカニクスについては、NPB若手審判員のデモンストレーションからスタート。場面に応じた正しい動きはもちろんのこと、きびきびとグラウンドを走り回ったかと思えば、プレイが起きる時には見やすい位置に止まってプレイをしっかり見る。その間に無駄な動きは一切見られない。審判員同士の声の掛け合いも自分の耳で確かめることができる。実際に目の前でデモを見て得られる情報はとても多い。これもアンパイアスクールの醍醐味の一つである。デモに続いては、4班に分かれ、二人制メカニクスの練習と、投球判定の練習が行われ、1日目のグラウンドでのカリキュラムが終了した。
ホテルに戻って着替え・食事を済ませると、今度は座学の時間が始まる。今回のアンパイアスクールは通常よりも定員を減らすなどして密にならない工夫をしているが、カリキュラムだけは密だ。18時からの座学は3部構成となっており、第1部はNPBの森健次郎講師による講演。審判員目線で語るプロ野球や2020東京オリンピックの話は、一般メディアではお目にかからない話ばかり。ここでは詳細は書けないので、気になる方はぜひ次回以降のアンパイアスクールを受講いただきたい。(注:講師は年度によって変わります。)

第2部は、当サイトにも掲載されている「動画で見る 審判員の基礎講座」を題材として、二人制メカニクスの詳細をNPB平林岳講師や、BFJ小山克仁講師が解説。1日目の実技講習の復習と、2日目の予習を兼ねたこの講習では、動画の視聴とその補足説明に加えて、NPB審判員によるステップやターンの実演も行われた。第3部は質疑応答。審判技術に関する質問や、規則改正に関する質問に加え、NPB審判員の試合日の過ごし方など、受講者から講師陣へ、実に様々な質問が投げかけられた。
3年前までのアンパイアスクールでは、座学後に懇親会が開催されていたが、今回は感染症対策のため開催はなし。これを楽しみにしている方も多いので、来年度以降、新型コロナ感染症への心配がなくなり早期に復活することを期待したい。

