審判員は伝道師 野球の魅力を後世に伝えることへの挑戦

前半の記事では、東京六大学野球連盟で審判員として活躍をされている瀧口氏に審判員の魅力や難しさをお聞きしてきた。

後半の記事では、瀧口さんの人生と野球の関係に迫り、最後に審判員を目指す方へのメッセージをいただいた。

審判員は野球の文化的側面を継承していく立場

-選手を引退されてからも審判員として野球に携わっている瀧口さんですが、瀧口さんにとって、野球あるいは審判員とはどのようなものですか。

野球は生活に非常に近いものだと思います。7歳の時に野球を始めて現在28歳なので21年間グラウンドを離れていないことになります。そう考えると趣味というよりは生活に近いものなのかなと思います。

私を審判の世界に導いてくださった青木さん(青木秀憲氏=東京六大学野球連盟所属審判員)もおっしゃっていますが、日本国内の人口減少のなかで野球をする人の数も年々減っていっています。

もちろん選手として野球で感じたことを継承することも可能ですが、いつしか引退の時期が訪れます。審判員は、選手としての活動が厳しい年齢になってからでも始めることができます。

そう考えると、審判員という立場であればグラウンドレベルで感じたことを長きにわたって継承することができます。

-本記事の読者の中には今後審判員をやってみたいという方がいるかもしれません。まずは何からすれば良いでしょうか。

何もつながりが無い方が審判員を目指すには一番近くの連盟に問い合わせをするというのが正攻法です。

これは私の経験談なので皆さんに当てはまるかは分かりませんが、もし野球経験者であれば母校の監督や部長、OBに連絡を取るというのも近道になるかもしれません。

監督や部長であれば各連盟ともつながりがあります。監督や部長による推薦という形で連盟に掛け合ってもらうという流れであれば、連盟としても志願者の素性も分かりますし、審判員になるにあたってはスムーズに行くかもしれません。

-瀧口さんはかなり若い時から審判員としてのキャリアを開始されましたが、何歳から始めた方が良いというのはありますか。

何歳から始めても問題はないと思います。もちろん、遅すぎて悪いということもありません。現に東京六大学連盟の審判員には50代あたりから始められている方もいます。

軽いダッシュができて、野球が好きであれば何歳から始めても問題ないです。審判員として連盟登録をすると必ず講習会があります。

そこで座学をしてその後グラウンドレベルでの実践もあります。例え審判の知識に不安がある方であっても先輩の審判員の方からの指導もあるので心配する必要はありません。

-審判員として活動を始めて5年になりますが、今後こうありたいといった目標のようなもがありましたら聞かせてください。

今後の目標としては二つあります。

一つ目は、審判員であり続けることです。少し消極的な目標にはなってしまいますが、大事なことだと考えています。仕事もありますが、審判員を辞めずに長く続けていきたいと思っています。

二つ目は、夏の甲子園でジャッジをすることです。東京六大学野球連盟では毎年何名かの審判員を甲子園大会に派遣しています。連盟から推薦される審判員になれるように経験を積んでいきたいです。

審判員の世界に導いてくれた恩師のような存在

何度かお話に出させて頂いた青木さんは憧れの審判員です。今でも連盟の中のベテラン審判員としてやり続けているということは非常にすごいことであり、私自身今もなお青木さんから多くのことを学んでおります。

また、青木さんは同じ審判員の方からも信頼されている点において、プロの目から見ても青木さんのジャッジを評価していると共に人間性でも素晴らしい方だなと思います。

-最後になりますが、審判員を目指そうとしている方、審判員に興味のある方向けに一言お願いします。

もし、審判員に興味が少しでもあればぜひ審判員の世界に来てください。技術的な面や知識の面で心配になる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にグラウンドに立ちジャッジをしていく中で培っていくものも多くあります。

野球が好きという気持ちがあればぜひ審判員の世界に入っていただければと思います。

グラウンドから離れて時間が経過している方であっても、目の前でボールが動く様子を見ると当時を思い出して気分も高まりますし、遠慮なくグラウンドへ来ていただければと思います。

若くして選手から審判員へと野球人生でのキャリアチェンジを果たした瀧口さん。審判員の高齢化が進むと言われている現在ですが、裏を返せば審判員は長い期間現役でいられるということでもある。

「何歳から始めても問題はないと思います。」

野球を好きな気持ちがあれば、誰でもいつでも審判員への道は開いている。

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